生活保護を受けていても遺産は相続できますか?

相続のよくあるご質問

はい。現在、生活保護を受給している方であっても遺産の相続は可能です

生活保護を受給しているからといって、相続において、何ら権利制限はありません

ただし、受け取った遺産の額によっては、

  • 生活保護の支給額が減額される
  • 生活保護の支給が一時停止される
  • 生活保護から外れる

などの事実上の不利益を受けることがあります

それでは、生活保護を受けている場合の遺産相続について、相続の専門家が解説します。

たまき行政書士事務所は相続や遺言の専門事務所ですので、相続人はだれか、自分が相続放棄したらどうなるのか、相続手続きの期間の予想、相続手続きの難易度などを、スムーズにご説明することが可能です。
まずは、お気軽にお電話メールラインにてお問合わせください。
LINEビデオやZOOM、Skypeを利用した無料テレビ電話相談も実施しております。

額によっては、生活保護を外れてでも遺産を受け取った方が良い場合も

現在、生活保護を受けている方でも、親などの遺産を相続することは可能です。むしろ、生活保護の趣旨からすると、積極的に遺産を相続して自立に向けた準備をしていただくのがよいでしょう

生活保護の制度は、生活保護法で保護の補足性を規定しており、あくまで本人が利用しうる資産をフル活用しても足りない分を補うものであり、その趣旨からすると基本的に遺産は相続すべきといえます。

(保護の補足性)
第四条 第1項 保護は、生活に困窮する者が、その利用し得る資産、能力その他あらゆるものを、その最低限度の生活の維持のために活用することを要件として行われる。

生活保護法

受けた額によっては生活保護が減額、停止、打ち切りになることもある

生活保護の受給者の方が、遺産を相続できることは先ほど説明した通りですが、遺産を相続したことによって生活保護が減額、一時停止、打ち切りになることもあり得ます

たまき行政書士事務所では、「親の遺産を相続すると生活保護が打ち切られますか?」というご相談をよくお受けしますが、おそらくどこの行政書士事務所や弁護士事務所等にお電話をしても、正確な回答は得られないと思います

どのくらいの金額を相続すれば、減額される、停止される、打ち切られるという明確な基準が公表されているわけではなく生活保護費は、最終的には行政の判断で決まるからです

そのため、「相続することで生活保護が減額、停止、打ち切りになることはあるのか?」という質問は、担当のケースワーカーさんや自治体の福祉事務所等に直接ご相談すると良いでしょう

実際にあった生活保護に関する相続相談の解決例

相続人が生活保護を受けている場合、「生活保護を受けているので相続を一切したくない」といわれることがあります。遺産の相続により現金等が手に入ると生活保護から外れてしまうからという理由です。

数十万円の相続をするくらいなら、生活保護を受給し続ける方がメリットがあると考える方が多いようです。

ただし、額の大きさによっては、生活保護を外れてでも遺産を受け取った方が良い場合もあるでしょう。

具体的には、生活保護を受けていた方が、何年も会っていなかった父にあたる方が死亡したことで相続人となり、一人相続人(一人っ子)であったため、1000万円ほど相続できることになったときなどです

このような場合、1000万円を相続して生活保護を外れ、自立に向けて活動した方がよい例でしょう(病気で働けない場合は除きます)。

実際に、当事務所のお客様で1000万円以上のお金を相続することになった方がいました。そのお客様は、事前にケースワーカーさんと相談して、生活保護を外れることは分かった上で相続したお金を元手に、経済的な自立に向けての一歩を踏み出しました。

家庭裁判所への相続放棄の申述はできるのか

生活保護制度の趣旨からすると、マイナスの財産よりプラスの財産の方が多い場合、家庭裁判所への相続放棄の申述はするべきではないといえるでしょう。

しかし、相続放棄は身分行為であるため、相続放棄するかしないかは、最終的には本人が判断します。そのため、家庭裁判所への相続放棄の申述ができないということではありません。

参考判例(昭和49年9月20日最高裁第二小法廷)

 詐害行為取消、株金等支払請求
【PDF】相続の放棄と詐害行為取消権

生活保護の制度の再確認

生活保護の制度とは、厚生労働省のホームページによると、

資産や能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する方に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障し、その自立を助長する制度です。(支給される保護費は、地域や世帯の状況によって異なります。)

厚生労働省

また、生活保護の制度趣旨は、同じく厚生労働省のホームページによると、

生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。 

厚生労働省

つまり、自分の資産をすべて活用して、それでもなお生活に困窮する方が自立できるようにするという制度趣旨からすると、生活保護を受けている方が多額の遺産を相続するとき、本来は、相続放棄(家庭裁判所への相続放棄の申述および実質的な相続放棄)はすべきではないといえます。

ただし、法律に、生活保護を受けている方は相続を放棄することができないという明確な規定はありませんので、多くの方が実質的な相続放棄(遺産分割協議書等の書類に、生活保護の方が相続しない旨がわかる記載をする)をしているのが現状といえます。

相続した場合の対応

不動産を相続した場合

不動産については、不動産の所有権の名義変更(相続登記)をすると、その相続の事実がオンラインで各役所に伝わりますので、市場で値段の付く不動産については、売却して現金化することを求められたり、生活保護の支給額を減額されたり、生活保護自体を外されたりする可能性があります。

いずれにしても、不動産を相続した場合、福祉事務所長等への届出が必要となります。

現金や預貯金を相続した場合

現金(現物)を相続した場合、足跡は残らないかもしれませんが、生活保護でいう「収入」あるいは、「その他生計の状況について変動があったとき」(生活保護法61条)にあたりますので、福祉事務所長等への届出が必要です。

銀行等金融機関から振込まれて預貯金として入ってきた場合、入金の足跡が残ります。もちろん福祉事務所長等への届出が必要です。

(届出の義務)
第六十一条 被保護者は、収入、支出その他生計の状況について変動があつたとき、又は居住地若しくは世帯の構成に異動があつたときは、すみやかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を届け出なければならない。

生活保護法

プラスの財産を相続したのに届出をしなかった場合

相続によってお金が入ってきたにもかかわらず、何の届出もしない場合、不正受給にあたる可能性があります。場合によっては、不正受給の罪(生活保護法85条1項)や詐欺罪(刑法246条1項)等の刑法犯になる可能性があるので、相続した際は、福祉事務所等へ正直に相談した方がよいでしょう

(費用返還義務)
第六十三条 被保護者が、急迫の場合等において資力があるにもかかわらず、保護を受けたときは、保護に要する費用を支弁した都道府県又は市町村に対して、すみやかに、その受けた保護金品に相当する金額の範囲内において保護の実施機関の定める額を返還しなければならない。
(罰則)
第八十五条 不実の申請その他不正な手段により保護を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法(明治四十年法律第四十五号)に正条があるときは、刑法による。
 偽りその他不正な手段により就労自立給付金若しくは進学準備給付金の支給を受け、又は他人をして受けさせた者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。ただし、刑法に正条があるときは、刑法による。

生活保護法

相続全般についてお気軽にご相談ください

相続の事案は、一例として同じ事情はなく、100件の相続があれば、100件のご事情があります。例えば、相続人は誰かについても、相続の発生時期、他の相続人の生死のタイミングで変化することがあります。相続すべきか相続しない方がよいかなどの問題も個別の事情を総合的に判断する必要があります。

また、長期間ある一人の方の相続を放置してしまうと、次の相続が発生してより難しい相続手続きになることもありますので、相続が発生したらなるべく早く(できれば1か月以内)に相続手続きの準備や相談をした方がよいでしょう

たまき行政書士事務所は相続や遺言の専門事務所ですので、相続人はだれか、自分が相続放棄したらどうなるのか、相続手続きの期間の予想、相続手続きの難易度などを、スムーズにご説明することが可能です。

  • 何をどうすればよいかわからない
  • 誰にまず相談すべきかわからない
  • 地元で相続を扱う事務所に相談したけれどもいまいち内容の理解が出来なかった

などのことがございましたらお気軽にご相談ください。

平日夜間、土日の訪問も可能です

たまき行政書士事務所では、お客様が一番リラックスできるご自宅でのご相談をお勧めしております。もちろん、札幌市北区にある事務所内での相続のご相談も可能です。

平日にご予約いただけましたら、土日の訪問も可能です。また、お仕事でお忙しい方については、平日の夜間のご相談もお受けしております。

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テレビ会議相談も行っております

令和2年3月以降、新型コロナウィルスの影響で、面会でのご相談をしばらく控えたいというお客様もいらっしゃると思います。

対面でのご相談よりもテレビ会議でのご相談を希望される方については、テレビ会議相続相談(オンライン相続相談、リモート相続相談)が可能です。

テレビ会議相続相談は、出張訪問相続相談と同品質で時間をかけて行っております。

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テレビ会議ですので、インターネット環境が整っていれば、北海道の離島(利尻島など)の方や東京都、神奈川県の方など遠方の方もご相談可能です。

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