相続手続きで行方不明や音信不通の相続人がいる場合の対応方法はありますか?

相続のよくあるご質問

まずは、行方不明となっている相続人を探す必要があります。行方不明の方を探す方法は4つの方法があります。行方不明の相続人が見つかれば、相続手続きができる可能性が高くなります。

しかし、行方不明の相続人がいる場合の相続手続きは、非常に解決までの手順が難しくなる傾向がありますので、相続に詳しい専門家に一度は相談するのがよいでしょう

今回、行方不明の相続人を探す方法を具体的に解説しましたので、詳しくは下記をご参照ください。

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行方不明の相続人を探す4つの方法

一般のお客様がご相談される、音信不通や行方不明の相続人とは、多くの場合、数年来連絡を取っておらず、住所や電話番号も他の相続人が知らず、生存しているのかすでに亡くなっているのかもわからないような方のことをいいます。

行方不明の相続人を探す方法としては、

があります。

① 戸籍の附票から住所を割り出す方法

相続手続きは、被相続人の戸籍(出生から死亡までの戸籍)を収集する事から始まります。被相続人の戸籍とともに相続人全員の現在の戸籍も収集します

行方不明の相続人の現在戸籍を取得した後、戸籍の附票を取得します

戸籍の附票には、現在戸籍が存在する期間の該当者の住所の変遷が明確に記入されております。ホームレスになる場合を除き、通常は、転居先で住民登録をしますので、現在住んでいる住所が判明します。

住所が判明し、その方が元気で、お手紙の返信をしてくれるような場合であれば、全く問題なく相続手続きができることが多いです

ただし、遺産の取り分については、特にその方に慎重に配慮したものとしないと遺産分割協議書に署名押印してもらうことは難しいので、丁寧な対応が必要です

行方不明の相続人がいると他の相続人の方から相談された場合、この戸籍の附票から住所を割り出す方法で8割くらいの確率で生死が判明し、現住所が見つかります。

国民であれば、住民登録をしないとなかなか生きていくのは難しいため、現住所さえ判明すれば、ほぼその住所に居住していることがほとんどです

② 失踪宣告の申立てをして行方不明の相続人について相続人の地位を外す方法

①の方法(戸籍の附票から住所を割り出す方法)で、現在戸籍や戸籍の附票、住民票でも現在の居所がわからず、総合的にみて死亡している可能性が高い(正確には、普通失踪の場合、生死が少なくとも7年間不明である)場合、失踪宣告の申立てをします失踪宣告がされると、法律上、行方不明の相続人が死亡したこととみなされます

具体的には、民法という法律の条文(民法30条等)と家庭裁判所のホームページに記載がありますが、行方不明の相続人が法律上死亡していたということにする(被相続人より先に死亡しているので、被相続人の相続人ではないこととなる。)ため、その方が遺産分割協議に参加しなくても、失踪者以外の他のすべての相続人の間で遺産分割協議をすることができます

失踪宣告の申立てをすることは、①の方法ですべての戸籍を取得していた場合、それ程難しくないため、一般の方でも裁判所の記入例を見ながらできることが多いです

申立書を代わりに記入、提出することは、司法書士か弁護士の方の専門領域となります。

第五節 不在者の財産の管理及び失そうの宣告

(不在者の財産の管理)

第二十五条 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。
 前項の規定による命令後、本人が管理人を置いたときは、家庭裁判所は、その管理人、利害関係人又は検察官の請求により、その命令を取り消さなければならない。

(管理人の改任)

第二十六条 不在者が管理人を置いた場合において、その不在者の生死が明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、管理人を改任することができる。

(管理人の職務)

第二十七条 前二条の規定により家庭裁判所が選任した管理人は、その管理すべき財産の目録を作成しなければならない。この場合において、その費用は、不在者の財産の中から支弁する。
 不在者の生死が明らかでない場合において、利害関係人又は検察官の請求があるときは、家庭裁判所は、不在者が置いた管理人にも、前項の目録の作成を命ずることができる。
 前二項に定めるもののほか、家庭裁判所は、管理人に対し、不在者の財産の保存に必要と認める処分を命ずることができる。

(管理人の権限)

第二十八条 管理人は、第百三条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。

(管理人の担保提供及び報酬)

第二十九条 家庭裁判所は、管理人に財産の管理及び返還について相当の担保を立てさせることができる。
 家庭裁判所は、管理人と不在者との関係その他の事情により、不在者の財産の中から、相当な報酬を管理人に与えることができる。

(失そうの宣告)

第三十条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失そうの宣告をすることができる
 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争がんだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)

第三十一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす

(失踪の宣告の取消し)

第三十二条 失踪者が生存すること又は前条に規定する時と異なる時に死亡したことの証明があったときは、家庭裁判所は、本人又は利害関係人の請求により、失踪の宣告を取り消さなければならない。この場合において、その取消しは、失踪の宣告後その取消し前に善意でした行為の効力に影響を及ぼさない。
 失踪の宣告によって財産を得た者は、その取消しによって権利を失う。ただし、現に利益を受けている限度においてのみ、その財産を返還する義務を負う。

民法
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③ 戸籍上では、125歳を超えるような場合、高齢者職権消除をしてもらう方法

明らかに死亡している年齢(例えば、生きていれば130歳)だが、死亡届が出ていないがため、戸籍上は生きていることになっている(住民登録は職権消除されている)ような場合、本籍地の戸籍住民課(名称は、自治体によって若干異なります。)にて、高齢者職権消除の申立てを行います。

申立用紙は特になく、利害関係者(共同相続人)が口頭で申し立てても行ってくれることがあります。

高齢者職権消除とは、社会通念上、すでに死亡していると思われる年齢の方の戸籍を、行政の裁量判断により法務省と連携し、除籍(死亡しているということにする)にする方法です。

正式な回答ではないのですが、当事務所で口頭にて役所の高齢者職権消除の基準年齢を伺った際、125歳を超えているかどうかであると自治体担当者の方から伺ったことがあります。

令和4年5月30日時点での、日本最高齢者(現在は死亡)が、119歳ですので、125歳あたりを超えている場合は、高齢者職権消除の方法で処理をするとよいでしょう

参考記事(相続コラム)

戸籍編(高齢者職権消除)

④ 不在者財産管理人の選任申立てをし、行方不明者の代わりに署名押印してくれる人を付ける方法

①・②・③いずれの方法もとれない場合、具体的には、戸籍の附票でも住所が判明せず、失踪の期間が7年未満であり、125歳を超えるような高齢者にも該当しない場合、相続人が“不在”であるとしてその不在者の財産管理人を選任する申立てを行います

詳しく正確な不在者財産管理人選任申立ての方法については、家庭裁判所のホームページにありますので、詳しくは、そちらを参照するとよいです。

ただし、この不在者財産管理人制度は、今後も他の相続人のもとに現れない可能性が高いであろう不在者の財産を、その方が死亡したことがわかるまであるいは、管理財産が尽きるまで(0円になるまで)何十年も管理するというものです

そのため、不在者財産管理人となった特定の方(相続人以外の親族等)に負担がかかるため、相続に詳しい弁護士などの法律家がなることが多いといえます

管理にかかる費用や報酬(家庭裁判所が最終的には決定します)については、基本的に不在者の財産から支出するのですが、財産が少額の場合、報酬や費用の捻出が十分にできないので、遺産分割だけのために不在者財産管理人を付けるのが難しいこともあります

また、不在者財産管理人の選任の申立ての際に、申立人は予納金の納付を家庭裁判所から求められることがありますので、手続き的にも費用的にも難度が高い制度といえます。予納金は、不在者の財産状況や事案の態様により異なりますが、30万円~100万円ほどといわれています。

①~④の方法以外の解決方法

費用や長期間となることも考え、相続財産が少額の場合には、遺産分割自体をしないことも選択肢の一つになると思います

その場合には、近年の民法改正で増設された、相続預貯金の仮払い制度などで、相続人様自身が自分の最低限の取り分を銀行等金融機関に請求するという選択肢や、失踪宣告の申立ての要件である失踪から7年以上経過するのを待つという方法があります。

詳しくは、仮払い制度の記事を書いておりますのでよろしければご参照ください。

どのような方が行方不明者になりやすいか

あくまで一般論とはなりますが、相続人が音信不通、行方不明者となる傾向にあるのは、いわゆる“兄弟姉妹相続“事例が発生したときに、独身の兄弟姉妹が相続人となるケースであると言えます。

昔の兄弟姉妹は人数が多く、戦後の混乱期に東京、北海道、東北などばらばらの地に兄弟姉妹が暮らすことになり、いまの時代のように携帯電話やメールやラインのような連絡ツールがないため、引っ越しなどのときに兄弟姉妹に連絡せずそのまま音信不通となることが多いです

また、両親が離婚して、家庭環境の変化により親と子供同士が疎遠になってしまったケースでも行方不明者が出ることがあります。

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