相続発生から10年近く経過し、不動産の権利関係が複雑で相続人同士が疎遠であったケース
(相談者:旭川市女性)
相続の解決事例
事案
ご相談者は、旭川市在住で、道東の自治体にある不動産の相続のご相談でした。10年位前に死亡した父の名義になっている土地などを整理したいが、本州にいる相続人となる甥っ子2人とは疎遠で、何年も会っていない状況なので、どのように遺産分割を進めたらよいかとのことでした。
解決までの道筋
不動産調査
該当の不動産の名寄帳、評価証明書を自治体から取り寄せ、法務局の公図や登記簿を見て権利関係の調査をしました。
すると、建物はすでに滅失しているのに登記簿上では存在していて、増築した部分の建物は未登記で、自治体も把握していないという状況でした。
また、すでに取り壊されているが、滅失登記がされていない登記簿上の建物の所在は、実際にあった場所とは違う場所となっておりました。
権利関係を調査し終わった総括としては、
- ⅰ. 役所の見落とし
- ⅱ. 当時担当していた土地家屋調査士のミス
- ⅲ. 法務局の見落とし
- ⅳ. 登記名義人の滅失登記忘れ
- ⅴ. 住宅ローンは弁済済みだが抵当権の外し忘れ
という計5点のミスが混在している大変特殊な状況でした。
相続人調査
亡き父(被相続人)の配偶者の方も死亡し、亡き父の長男も2年前に死亡していたため、いわゆる数次相続が2件発生しておりました。
被相続人の長男は、離婚していたが子供がいたため、長男の子供(被相続人から見ると孫、依頼者からみると甥っ子)2人とご依頼者の3人が相続人となりました。
役所調査、銀行調査
役場に電話で確認したところ、すでに滅失済みの建物に対する課税をしており、課税ミスがあることがわかりました。課税担当の方に状況をお伝えし、滅失登記後は、滅失解体済みの建物に固定資産税は課税されないこととなりました。
抵当権を設定してある銀行にご依頼者様から電話を入れていただき、滅失登記申請に必要と思われる、抵当権者の解体の同意書も取得しました。
遺産分割協議案のアドバイス
遺産分割協議書は、行政書士の方で業務として作成可能ですが、遺産分割協議の内容は、行政書士などの専門家が決める問題ではありません。遺産分割協議の内容(解決方法)は、相続人同士で決めるのが原則です。
しかし、今回のように相続人同士が疎遠である場合には、相続人の方は、何から手を付けて良いかわからないので、相続に精通した専門家のアドバイスがなければ、解決することが極めて難しい状況です。
そこで、行政書士の方で、相続人様同士が疎遠である場合の解決法をいくつか提示し、今回の特殊な状況も踏まえ、アドバイスしました。
今回、該当の土地は北海道内にあるので、北海道に住む長女様が相続し、疎遠である甥っ子様二人には、固定資産税評価額を基準に法定相続分を割り出し、代償金を振り込むことを約束し、その旨を遺産分割協議書の第2条に記載し、署名押印をしてもらうことになりました。
結果的に、合理的かつ妥当な解決方法を提示している遺産分割協議書は、甥っ子2人にも受け入れられ、スムーズに書類を返送していただけました。
相続登記と滅失登記
提携する司法書士と初期段階から連携し、スムーズに相続登記まで行うことができました。すでに取り壊されている家屋については、滅失登記をする必要がありますが、これを依頼する場合は、土地家屋調査士に依頼することになります。
今回は、移動や法務局への訪問などが比較的得意なご依頼者様が、自分で法務局に出向き滅失登記をすることになりました。
感想
今回の相続は、相続発生から10年近くも経過しており、また、不動産の権利関係が複雑に入り組み、相続人同士が疎遠という特別な事情が重なっておりました。
しかし、相続のご相談では、むしろ何も問題がないというケースの方が稀です。
相続のご相談は、個別知識だけで対応できるものはあまりなく、民法や税法、実務上の取り扱いを総合的に考えながら対応する必要があります。
今回は、お客様に状況をお聞きしながら二人三脚で解決に至ることができて、当事務所としてもとても良かったと思っております。
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