相続人に一人、戸籍に死亡記載のない方がおり、かつ、相続人が多数となったケース
(相談者:札幌市西区女性)
相続の解決事例
事案
夫婦の夫が死亡し、妻が入院中でしたので、夫婦の家の名義をご存命の相続人に変更して、解体処分したいと、妻のお子様(前夫との子)からご相談がありました。
今回、被相続人となる夫には子供がいなかったので、いわゆる兄弟姉妹相続事案となりました。
被相続人名義の自宅は、北海道の地方都市にある土地および家屋のため、相続して家を解体しても赤字になる可能性の高いものでした。
ご相談者の方は、ご近所の方にご迷惑をかけたくないので、赤字が出てもしっかりと手続きをしたいとのことでした。
ご相談者には、ご依頼主となれるのは相続人の妻の方であることをお伝えして、被相続人の妻の依頼により戸籍調査を始めしました。
参考記事
解決までの道筋
戸籍調査をしていたところ、戦後の混乱期の中、海外で死亡した方(被相続人の父)の戸籍に死亡記載がないことがわかりました。死亡の記載がない場合、戸籍上では生きている扱いになるので、被相続人の妻と父が相続人となります。
ただし、父は実際には死亡しているので、実態と同じにするため戸籍に死亡の記載を付ける必要があります。
そこで、まずは、父の失踪宣告を申し立てることを相続人に行ってもらいました。
失踪宣告の申し立ては家庭裁判所に行うのですが、家庭裁判所のホームページに申立書の丁寧な記入例もありますので、それほど難しいものではありません。そこで、今回は、弁護士や司法書士に申し立てを依頼するのではなく、相続人の方の本人申請で行ってもらいました。
失踪宣告の申し立ての準備中、および失踪宣告の申し立ての期間中に、複数の相続人が死亡しました。そのため、失踪宣告が完了し、死亡の記載がされたときには、相続人が多数(正確には、数次相続人が多数)となりました。
相続人が多数になると、戸籍の収集範囲が変わります。
遺産分割時においては、必要な範囲の戸籍をすべて取得する必要があります。結果的に、戸籍の束は、厚さ5センチ程度になりました。
参考記事
相続人の一人が法定後見の開始決定を受けている方(成年被後見人)であったため、今回の相続の事情を成年後見人に伝え、成年後見人に遺産分割協議書の署名押印をしてもらうことになりました。
提携する司法書士と打ち合わせを何度も行い、相続人全員の署名押印および印鑑登録証明書を添付した遺産分割協議書(今回は、遺産分割証明書形式を採用)と、戸籍等および固定資産税評価証明書を揃えて提出し、無事に登記が完了しました。
初回相談から完全に解決するまでの期間
今回は、ご相談から相続登記完了まで、1年10か月位かかりました。通常の不動産のみの相続手続きですと、ご相談から相続登記まで2か月位で完了しますが、今回は、
- ① 相続人の一人の戸籍に死亡記載がないという、特殊な事情があったこと
- ② 失踪宣告の申し立て期間に、複数の相続人が死亡したこと
- ③ 成年後見人がついている相続人の方がいること
- ④ 相続人同士が疎遠で、丁寧な手順を踏む必要があったこと
などの影響で、ご相談から業務完了まで1年半を超える長期間になりました。
たまき行政書士事務所にご相談にいらっしゃるお客様の中には、他の事務所で手に負えないと判断されて敬遠されたり、自分の町の行政書士や司法書士には、事案が複雑すぎて断られたりした方も多いです。
今回の相続事案は、トップクラスの難度でしたが、ご相談者様には解決までの日程を予めお伝えしていたので、終始、ほぼ予定通りの流れで進めることができました。
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