戸籍はどこまで遡る必要があるか

相続・遺言コラム

相続手続きの際に、必ず要求される資料が被相続人(お亡くなりになった方)の出生から死亡までの戸籍です。

出生の戸籍とは、0歳児のときの戸籍で、最初に名前が記載された戸籍のことです。

そのため、被相続人の戸籍は0歳児まで遡るということになります

60代で死亡した方であれば、死亡の戸籍から3~4通遡れば0歳児のときの戸籍までたどり着くことが多いです。

100歳前後の方がお亡くなりになると、0歳児のときの戸籍まで遡るのに、死亡の戸籍から5~6通遡ることも多くあります。

たまき行政書士事務所は相続遺言専門の行政書士事務所ですので、戸籍収集について毎月多くの相談をお受けしています。
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昔に遡れば遡るほど読み取り困難

近年の戸籍制度(昭和改製後、平成改製前、平成改製後の戸籍)では、夫婦を中心に一世代下の子供のみが一つの戸籍に記載されています。

そして制度上、子供が結婚すると強制的に親の戸籍から外れる必要があるので、それほど複雑ではありません。

しかし、昭和改製より前の制度の戸籍(昭和35年頃より前の戸籍)では、筆頭者が戸主と表記され、しかも、一つの戸籍に戸主の母や甥や姪まで一緒に記載されたものとなっていたので、一つの戸籍の中に15人くらい記載されていることもあります。

また、手書きの流れるような字で書かれており、さらに、“ハナ”さんなど同じような名前がよく出てきます。

そのため、被相続人の父や母の出生までの戸籍を遡り、明治時代くらいの戸籍を読み取るのは非常に難しいといえます

古い戸籍だと戸籍自体がないことも

現在の戸籍の制度では、戸籍に入っている人が全員除籍となってから、あるいは、改製されてから150年間の保管が義務付けられています。

しかし、150年間の保管が義務付けられたのは平成22年の戸籍法改正後のため、戸籍法改正前の保管期間(80年間)が経過している戸籍については、

  • ⅰ. すでに廃棄されている
  • ⅱ. 函館市のように大火災によって戸籍が消滅してしまっている
  • ⅲ. 樺太の戸籍のため、戦争の影響で紛失している
  • ⅳ. 在日韓国人2世の方などについては、日本で生まれ日本で育っているにもかかわらず、出生からの数年間の戸籍がない

といったことがあります。

被相続人の父母の戸籍を遡ると、上記のように何らかの影響で廃棄、紛失、消滅していることがあるので、0歳児まで遡れないことがあります。

そのときは、該当の自治体や外務省、韓国領事館などから

  • ⅰ. 廃棄証明書や不在籍証明書
  • ⅱ. 大火による焼失の証明書
  • ⅲ. 外務省発行の樺太戸籍が保管されていないことの案内書
  • ⅳ. 韓国大使館発行の事実証明書

で出生からの戸籍の代わりとします。

このように兄弟姉妹相続事案では、可能な限り被相続人の父と母の出生までの戸籍を集めていくのです

兄弟姉妹相続では、被相続人の父や母あるいは祖父祖母の戸籍まで要求されます。

兄弟姉妹相続とは

兄弟姉妹相続事案というのは、

  • ⅰ. 被相続人に子供がおらず
  • ⅱ. 両親等の尊属全員が死亡しており

被相続人の兄弟姉妹(場合により甥や姪)が相続人となる相続事案のことです

相続人には、順番があり、簡単にまとめると、

  • 配偶者は常に相続人
  • 被相続人に子供がいれば、子供が第一順位の相続人
  • 被相続人の尊属が生きていれば、尊属(通常は父、母、またはその両方)が第二順位の相続人
  • 子供も尊属もいなければ、兄弟姉妹が第三順位の相続人

となります。

兄弟姉妹相続事案では、被相続人の父母の0歳児までの戸籍が必要

ここまできてやっと本題となりますが、兄弟姉妹相続事案で一番お客様を悩ませるのが、「被相続人の父母の戸籍をどのくらいまで遡ればよいのか」ということです。

その答えとしては、被相続人の父および母の戸籍も可能な限り0歳児の戸籍まで収集するということです。

銀行などの金融機関で説明を聞くと、「被相続人の父母の出生から死亡までの戸籍も必要です」とよく言われます。

しかし、昔の戸籍になればなるほど読み取りの難度が上がり、だれに聞いてよいのかわからなくなります。

例えば、85歳くらいの方がお亡くなりになると、明治初期の戸籍が出てきますので、数字は現在のような算用数字ではなく、1が壱、2が弐、3が参、10が拾と漢数字で書かれていることがあります。

そうすると、「明治参拾弐年壱月参日北海道函館區旭町壱番地より転籍」というような読み取り困難な戸籍がいっぱい出てきます。しかもこれが、手書きの流れるような字で書かれているために、戸籍の読み取りに慣れている方でない限り挫折してしまいます。

なぜ被相続人の父母の戸籍を出生まで集める必要があるのか

銀行など金融機関の窓口の方に「なぜそこまで遡る必要があるのか」と尋ねても、おそらく明確な答えは返ってこないことがほとんどかと思います。

被相続人の父母の戸籍を出生まで遡る理由は、ずばり被相続人の父または母に子供や養子がいるかを調べるためです。

被相続人の父または母に子供や養子がいれば、その方も被相続人の兄弟姉妹となり法定相続人となる可能性が出てきます(可能性が出てくるというのは、被相続人より先に死亡していると、その方は法定相続人とならないからです)。

つまり、被相続人の兄弟姉妹を調べるためには、

  • ⅰ. 被相続人の父と母の両方の血を共通とする兄弟姉妹
  • ⅱ. 被相続人の父または母の片方の血を共通とする兄弟姉妹

がいるのか戸籍を収集して確認する必要があります。

そのため、被相続人の父の出生までの戸籍と、被相続人の母の出生までの戸籍のいずれもが必要となるのです。

被相続人の父または母の片方の血を共通とする兄弟姉妹も法定相続人となりますので、注意が必要です。

兄弟姉妹相続事案は早めに専門家に相談に行きましょう

今回は、“戸籍はどこまで遡る必要があるか”についてのコラムを書きましたが、このほかにも相続手続きに必要な戸籍を集める際には、スムーズに収集できないことが多々あります。

特に、兄弟姉妹相続事案については、おそらく一定程度進んだところで、これは無理だと思うタイミングがほぼ確実に来ますので、できるだけお近くの相続に詳しい専門家に一度ご相談すると良いでしょう

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