賃貸アパートに一人暮らししていた高齢男性が死亡したときの対応について
相続・遺言コラム今急増している賃貸アパートで一人暮らしの高齢男性が死亡する事例
タイトルは一人暮らし高齢男性としていますが、もちろん一人暮らし高齢女性でも同じです。ただし、北海道でいえば、感覚的に賃貸アパートで一人暮らししているのは圧倒的に男性が多いといえますので、今回は男性としております。
賃貸アパートに一人暮らしとなる高齢男性の典型例は、生涯独身、あるいは、結婚したが離婚して家を出てその後再婚せず賃貸アパートで一人暮らしというケースです。
年金暮らしに入ってからでは、なかなか賃貸アパートを借りることができないため、働いていたときに借りていたアパートをそのまま継続して契約するか、もしくは、生活保護を受け自治体が家賃を大家さんに払う形で暮らしているということが多いです。
一般論ですが、男性は女性よりご近所との付き合いがあまりないケースが多く、孤独死して数日後、においなどの発生で発見されることが、死亡の事実がわかるきっかけとなることが多いです。
ご高齢の一人暮らし男性が死亡した場合には、警察、法定後見人、あるいは、大家さんから死亡した方の法定相続人に連絡が行き、法定相続人が遺品整理、賃貸アパートの解約手続きなどをすることになります。
法定相続人だが疎遠であった方の対応
警察経由でまず連絡がいくのが、連帯保証人や、法定相続人です。連帯保証人は、死亡後の責任はないため、賃貸アパートの解約や遺品整理などは、法定相続人が行います。
一人暮らし男性は、親戚づきあいも少ないことが多いため、法定相続人といっても疎遠な方ばかりです。特に多いのが、離婚して女性側に引き取られた血縁の子供が連絡を受けることです。
このような場合、死亡した父とは、20年以上会っていないというケースが多く、「なぜ何十年も会っていない父について、いまさら私たち(子供)が・・・」という心境となります。
しかし、死亡が発生するとあくまで法定相続人が責任を負いますので、相続放棄をするか、預貯金なども相続して賃貸アパートの処理もするかしか方法がありません。
確実にプラスになるようであれば、過去のことは割り切って相続放棄をせずに相続して処理をするというのも有効な選択肢となります。
相続放棄をしても、後順位の法定相続人が責任を負うので、子供の代で処理するというのが他の親族に影響を与えず良い場合があります。
連帯保証人に責任を負わされることも
連帯保証人は、2020年4月1日の民法の改正で、下記記載のように民法の条文上も死亡後の責任は負わなくてよくなりました(民法第465条の4第3号)。ただし、不動産を管理する管理会社としては、誤って(あるいは意図的に)連帯保証人に死亡後の賃料を負わせようとする場合があります。実際に、そのような相談事例が当事務所でもありました。
理由としては、法定相続人が見つかり対応するとしても何か月もかかることが多く、その間の賃料を大家さん、管理会社の立場としては回収したいからです。
ただし、民法改正以降の契約下においては、連帯保証人が負担するべき責任は、あくまで生きているときの未払い等に関するものに限定されますので、法律上応じる必要はありません。しつこく管理会社から死亡後の賃料を請求されるようでしたら、弁護士の先生に相談するのがよいでしょう。(弁護士法の規制の関係で、対応できるのは相続人本人か、弁護士となります。)
(個人根保証契約の元本の確定事由)
民法
第四百六十五条の四 次に掲げる場合には、個人根保証契約における主たる債務の元本は、確定する。ただし、第一号に掲げる場合にあっては、強制執行又は担保権の実行の手続の開始があったときに限る。
一 債権者が、保証人の財産について、金銭の支払を目的とする債権についての強制執行又は担保権の実行を申し立てたとき。
二 保証人が破産手続開始の決定を受けたとき。
三 主たる債務者又は保証人が死亡したとき。
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