【遺言を作成した方が良い方】
第5話 現在2回目の結婚しており、前妻との間に子供がいた男性
相続・遺言コラム
前妻との間に子供がいる男性(現在2回目の結婚をしている)の相続が発生したときの状況について
具体例
男性A氏(55歳)には、離婚歴があり、前妻との間に子供B(現在28歳)がいる。離婚後、2回目の結婚をし、後妻C(45歳)との間には、子供D(20歳)がいる。
A氏と前妻との間の結婚生活は3年と短く、子供Bは妻が引き取り子供が2歳の時離婚したので、子供Bとは離婚して以来ほとんど会っていない。
2回目の結婚は、現在21年目を迎え、後妻と子供Cと結婚して現在まで円満に暮らしており、今後も離婚の予定はない。
男性A氏の財産は、現在札幌市北区の自宅土地建物(評価額1600万円)と預貯金計900万円の合計2500万円である。
遺言を作成していない場合の遺産分割について
男性A氏が公正証書遺言などの遺言を作成していないで死亡した場合、後妻Cと前妻との間の子B及び後妻との間の子Dが遺産分割協議に参加すべき相続人となります。
遺言が無い場合、男性A氏自身の意向はほぼ反映されることはありません。
相続人は、被相続人の相続が発生した場合、相続人全員の合意で遺産を分割する必要がありますが、BとCDは面識が一度もありません。
この場合、例えば、後妻Cが相続手続きに必要な戸籍を収集し、戸籍の附票にて、Bの住所が判明し、遺産分割のお伺いを立てることとなります。
Bが特に、自身の血縁の父であるA氏に嫌な感情をいだくことなく、合理的に判断してくれる方であればよいのですが、小さいころに父が離婚によりいなくなって母にずっと育てられていた子Bさんのようなケースでは、一般的に、血縁の父にあまりいい印象をいだくことはありません。
そのため、実父の相続に関して遺産分割の提案をしても、書類を返送してくれない、きっちり法定相続分の金銭を求めるという結果となることが多いです。
参考記事
男性A氏の意向
男性A氏は、1回目の離婚の際に財産分与をして、かつ、前妻との間の子Bには、通常の養育費相場よりも高い金額をBが成人になるまで支払っており、また、Bはしっかりと社会人として働いていることから、Bには、自分が死亡した時に、遺産を相続させることはしたくないとの意向です。
また、自宅土地建物は、後妻Cが安心してずっと暮らせるようにCに相続してもらいたいと思っている。預貯金は、CとDに半分ずつ相続させたい。
男性A氏の意向を反映させるための公正証書遺言の作成
男性A氏の意向をしっかりと死亡した後に反映させるためには、遺言の作成、特に、公正証書遺言の作成をするとよいでしょう。
公正証書遺言にしておくと、遺言が無効となるリスクは限りなく少なく、銀行、不動産の手続きもスムーズに進みます。
今回のA氏の意向から公正証書遺言を作成すると自宅土地建物をCが取得し、預貯金の450万円ずつをCとDがそれぞれ取得します。
公正証書遺言を作成し、遺言執行者を後妻Cにしていた場合、Cは、相続手続きを行政書士や司法書士などに委任して遺言の執行(相続手続き)行わせる権限もあります。
公正証書遺言など遺言を作成しておけば、遺留分というBの一定の権利は残りますが、手続き的には、Bの承諾なく、後妻Cへの自宅の土地建物の名義変更、C及びDへの預貯金の相続をさせることが可能です。
遺言があった場合遺留分額の金額と遺産分割による法定相続分の金額の違い
遺言があった場合
公正証書遺言があると、特定の相続人の相続分をなくすことができます。ただし、相続分をなくされた相続人の保護のため、遺留分減殺請求権という権利が相続分をなくされてしまった相続人に残ります。
遺留分減殺請求権は、その権利を主張するしないについては、相続分をなくされてしまった相続人に委ねられますので、例えば、1年以上相続発生と相続財産額を知った上で放置していた場合や、そもそも権利行使する気がなく1年経過した場合には、結果的に取り分0で終わることもあります。
今回の例でいえば、前妻との間の子Bが遺留分を主張すると8分の1の権利があります。
男性A氏の相続財産合計が2500万円(自宅土地建物の評価額1600万円、預貯金合計900万円)とすると、Bの遺留分を計算すると概算で312万円をCに請求できます。
Cは、遺留分減殺請求をBからされた場合、A氏の相続財産から取得した450万円から約312万円を支払うことで解決します。
遺言が無く遺産分割によって法定相続分をBが取得する場合
Bが自身の法定相続分4分の1を金銭で取得したいと考える場合、約625万円をCとDに要求することができます。
遺言が無い場合には、遺言があった場合のおよそ倍額をDにお渡しすることになります。
まとめ

事情により現在の夫婦との間の子に財産を渡したい場合、遺言、特に、公正証書遺言を作成した方がよいでしょう。そうすると面識のない後妻及び後妻の子と前妻との間の子Bとの間で遺産分割協議をする必要がなくなります。
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