【遺言を作成した方が良い方】第12話
いわゆる“相続税案件”になることが予想される方
相続・遺言コラム
なぜ相続税案件だと遺言を作成した方が良いのか
結論を先に申し上げると、相続税案件だと遺言を作成した方が良い理由としては、相続税の申告および納税期限が死亡日から10か月と短く、遺産分割協議が長引いたりすると、手元に納税資金がないのに多額の相続税を支払う必要が生じて、相続人が困ることが多いからです。
しかし、遺言、特に公正証書遺言を作成するとあっという間に相続手続きが完了し、相続税の申告および納税期限までに、納税資金の用意を間に合わせられることが期待できます。
“相続税案件”とは
業界用語かもしれませんが、相続の専門家の間では、“税案件”、あるいは“相続税案件”という言葉が使われます。これは、相続が発生した際に、相続税の基礎控除額を超え、相続税の申告および納税をしなければならない相続案件のことをいいます(以下、「相続税案件」と呼びます)。
相続が発生したら相続税案件になるだろうと予想される場合には、「相続が発生した場合には相続税案件になるから、生前に何らかの対策をとった方が良い」という話になります。
相続税の話であると、一般的には、税理士さんに生前相談をする方も多いですが、税理士さんだけでなく、遺言に詳しい行政書士さん、弁護士さんにも相談をした方がよいです。
なぜなら、節税の方法などを教えてくれる税理士さんはいますが、公正証書遺言のサポートをしてくれる税理士さんは比較的少ないからです。
相続税案件で遺言が無い場合に一番大変だと思うこと
遺言が無い場合に相続税案件で一番大変だと思うことは、一言でいうと遺産分割協議がなかなかまとまらないということです。
相続税案件になる方(将来の被相続人)の相続が難しいのは、多くの場合、被相続人の資産構成に、不動産、証券、高額な自動車、自社株式など、預貯金以外の金額が一律に定まらない財産が含まれているからです。
そして、最も問題になりやすいのが不動産と自社株式で、資産価値を評価する方法について相続人の合意が取れないことが多いです。
不動産でいえば、
- ⅰ. 市場価格
- ⅱ. 相続税路線価
- ⅲ. 固定資産税評価額
など大きく分類して3種類の価格(評価額)があり、どの価格(評価額)を採用するかで財産額が大きく変わります。どの評価額を採用するかは、裁判所で扱うような案件を除いて、相続人の合意で決めていきます。
例えば、札幌市西区琴似付近の土地50坪の場合、
- 市場価格は2000万円
- 相続税路線価は1500万円
- 固定資産税評価額は1200万円
ということがよくあります。
自社株式でいえば、自社株式を相続する予定の方(長男など家業を継ぐ者)は、自社株式は特に現金化できるものではないので0円で評価してもらいたいと考え、自社株を相続する予定のない方(会社を継がない二男など)は、会社資産から割り出される客観的な評価をしてもらいたいと考えます。
このように、相続財産に、一律に金額(評価額)が決まらない財産が含まれていると遺産分割協議が進まず、親族だからこそ頻繁に話し合いができないという心理状態も重なり、あっという間に相続税の申告および納税期限(死亡から10か月)を迎えます。
公正証書遺言を作成している場合の流れ
遺言、特に、公正証書遺言を作成していない場合、遺産分割協議によって相続財産の分配を決めていく流れとなること、そして、相続税案件だからこそ、遺産分割協議をまとめるのは難しいということをお話してきました。
では、公正証書遺言を作成している場合には、どのような手続きの流れになるか解説します。
まず、前提として、公正証書遺言を作成した場合には、自筆証書遺言とは異なり、ほぼ間違いなく遺言が無効となるようなことがなく、法律の専門家(行政書士や弁護士および公証人)が関与しているので、遺言の文面に最低限記載していなければならない記載が抜けることもありません。
自筆証書遺言だと欠けていることが多い遺言執行者の指定についての記載も、公正証書遺言であれば欠けることはありません。
次に、公正証書遺言によって遺言執行者の指定がなされている場合の手続きの流れを具体的に説明します。
公正証書遺言によって遺言執行者の指定がなされている場合の手続きの流れ
遺言執行者は、相続手続きに必要な戸籍の収集を相続人に代わってすべて行うことができます。
公正証書遺言の正本をもって、財産調査と解約を一気にすることができます。
戸籍の収集が1か月~2か月かかったとしても、財産調査および解約手続きは1~2か月程度でできますので、遺言の執行については、早くて2か月、遅くても4、5か月で行うことができます。
そのため、例えば、四十九日法要が終わるのを待って、死亡から2か月後にスタートしても、死亡から5か月後位には相続手続きが完了します。
残りの5か月は、税理士の方に相続税申告を依頼し、相続税の納税資金を確保した上で、相続税申告期限前に余裕をもって納税することができます。
遺言がある場合と遺言がない場合の比較図
まとめ
相続税案件になることが予想される方で、特に、不動産、自社株式のある方は、公正証書遺言を作成すると、相続人の方が相続税の納税資金の確保に困ったり、遺産分割協議で揉めて家族の仲が悪くなってしまったりすることを避けられることが十分期待できます。
そのため、相続税案件になるような財産がある方については、元気なうちに積極的に遺言作成の相談に行った方がよいでしょう。
また、遺言を作成してもらいたいと考えている配偶者の方やご子息の方は、「一度、専門家に話を聞いてみたら」と促していただき、遺言および相続の専門家の話を聞きに行く手助けをしてあげるのが良いと思います。
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