空き家を相続し、売却した時の不動産に関する税金はどのようなものがあるか
相続・遺言コラム空き家を相続するときの流れと税金
被相続人名義の不動産を遺産分割協議により法定相続人の一人が相続する場合、相続登記をして、生きている方に名義を移してからでないと売却をすることが出来ません。
相続登記→不動産業者の方と不動産媒介契約の締結→売却という流れとなります。
1. 登録免許税について
空き家を相続する場合、まずは、相続登記をすることとなります。ここで、かかる税金は、名義変更時にかかる登録免許税という税金です。
登録免許税は、相続を原因とする名義変更の場合、固定資産税評価額のおよそ0.4%となります。例えば、北海道の地方都市の案件では、500万円くらいの固定資産税評価額が多いので、不動産の評価額がピッタリ500万円だと仮定すると、2万円が登録免許税となります。登録免許税は、収入印紙で納めます。
贈与や売買などの名義変更時は、登録免許税が固定資産税評価額のおよそ2%かかりますので、相続の場合には、通常の5分の1の登録免許税額で済むということとなっております。
2. 不動産取得税について
贈与や売買などを原因とする名義変更が完了すると、数か月後に、不動産取得税という税金がかかります。この税金は、不動産の所在する地方自治体から請求されます。
しかし、相続を原因とする名義変更(相続登記)の場合には、例外的に、不動産取得税がかかりません。
そのため、空き家を相続するときには、不動産取得税という税金は発生しません。
3. 固定資産税について
固定資産税という税金は、毎年1月1日の所有者に課税されます。そのため、例えば、令和3年3月15日に不動産の名義人が死亡した時には、すでに死亡している不動産の所有者の名前で、4月末から5月上旬に固定資産税納税通知書が送られてきます。
送られてきた被相続人名義の固定資産税納税通知書はそのまま不動産を相続する法定相続人の方が納める必要があります。
その後、空き家を売却した場合には、日割りで売主と買主で調整されます。具体的には、売主が固定資産税納税通知書で来た固定資産税を全額支払い、買主が引き渡しを受ける日以降の固定資産税を売主に支払うことで、固定資産税を清算します。
参考
4. 不動産譲渡税について
空き家を売却した場合、多くの方が不動産譲渡税を申告する対象の方となります。
先ほど、検討した通り、確かに、不動産取得税というのは、「取得費<売却額」の場合のみかかる税金であるのですが、取得費を証明することができる根拠となる資料が必要となります。
土地の取得費であれば、一般的には、被相続人の方が土地を購入した時の売買契約書が必要となります。売買契約書がない場合には、残念ながら取得費の根拠資料がないということとなります。
建物の取得費は、売買契約書や建築請負契約書となります。ただし、相続する場合、木造建物の減価償却費が22年であることから売買契約書等があったとしても、そのまま取得費としては計上できないことが多いです。
以上のような理由で、相続した空き家を売却した時には、不動産取得税の申告をしなければならない事例の方が多いです。
不動産取得税の申告について
根拠となる資料がない場合、不動産取得税の申告は、取得費を5%と計上することが出来ます。そのため、大雑把な説明をすると売却額の95%の価格に対して、15%の不動産譲渡税が課税されます。
不動産譲渡税は、所得となりますので、給与所得の方も個人事業主で事業所得の方も2月1日から3月15日までの所得税の確定申告の期間に確定申告をする必要があります。
不動産取得税は、一定の厳しい要件を満たせば、居住用不動産の売却の特例が使えることがあります。その場合、確定申告は必要ですが、不動産譲渡税が0となる場合もあります。
いずれにせよ、不動産譲渡税の申告については、制度が複雑で非常に難しいですので、空き家を売却した場合の不動産譲渡税の確定申告については、不動産譲渡税に精通している税理士に相談や依頼をすると良いでしょう。
たまき行政書士事務所でも、空き家を相続し、売却する予定の方については、不動産取得税に精通した税理士さんを紹介しています。
不動産譲渡税を納めた後の住民税、健康保険料の増額について
意外と忘れがちなのが、不動産譲渡税という所得を申告した翌年の住民税及び健康保険料の増額です。年金暮らしの方や、給与所得で毎年安定した収入の方については、ある程度一定の住民税や健康保険料を納めているかと思いますが、不動産譲渡税を申告納税した翌年の住民税や健康保険料についても1年限りですが増額します。
どのくらい増加するかの概算については、税理士の方が試算することができますので、不動産譲渡税に詳しい税理士の方に相談すると良いでしょう。
まとめ
今回の相続コラムでは、相続した不動産を売却した場合の税金について解説しました。相続については、税金の面でも十分注意する必要がありますので、お亡くなりになった方が不動産をお持ちの場合には、相続に詳しい専門家(相続手続きだけでなく、税金についても精通している専門家)に相談するのが良いと思います。
たまき行政書士事務所は、相続手続きについては、もちろん、不動産売却の実務、相続にまつわる税金についても、精通しております。
また、相続に関する税金(資産税分野)に詳しい税理士の方も複数提携しておりますので、不動産の相続に関して全般的にご相談したいという方は、よろしければ、当事務所にご相談ください。
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