とりあえず預貯金のみ均等配分し、不動産は後回しとすることの弊害

相続・遺言コラム

相続手続きの順番

相続手続きには、いろいろなやり方があります。当事務所のような相続専門の事務所であれば、

  • ① 戸籍調査・財産調査を先に行い全財産を把握してから
  • ② 遺産分割協議をしていただき、遺産分割協議書を作成し
  • ③ 預貯金及び不動産について一連の流れで相続手続きを行っていきます。

ポイントとなるのは、被相続人名義の不動産がある場合不動産の相続手続き(相続登記)を後回しにしないということです。

不動産の相続手続きが進まなくなる典型例

被相続人名義の不動産について、財産的価値がある場合(北海道でいえば、札幌市内の住宅地)、財産的価値があまりない場合(北海道内の小規模地方都市の宅地や原野)ともに、預貯金と同時進行で誰が相続するかを決めた方がよいです

しかし、専門家でない一般の方が家族内で調べながら手続きを行う場合、預貯金のみの相続手続きを完了させて、不動産については、棚上げして相続手続き(相続登記)をされていないことがよくあります

そして、不動産の相続手続きをせず、数年間放置して、いざ空き家となっている不動産の売却をしようとするときに、不動産屋さんに行くと、「まずは、相続登記を済ませてください」といわれます。

その後、いざ相続人全員で誰に名義を変更するかを話し合ったところ、所有者を一人に決められないということが生じます。あるいは、誰も名義人(新所有者)になりたくないという現象が生じます。

これは、一人に名義変更すると札幌市の住宅地のような財産的価値のある土地建物の場合、名義人(新所有者)となった方が得をしてしまい他の相続人が不平等と感じるからです。

他方、財産的価値のない北海道の地方都市の土地建物あるいは原野の場合、不動産を所有する方が負担になるため、誰も名義人(新所有者)になりたがらないということになります。

この結末としては、不動産の名義が死亡した方のままなので売却できない不動産(売却不能不動産)、所有者不明土地へと発展します

売却不能の不動産、所有者不明土地へと発展しないための方法とは

あくまで当事務所の見解にはなりますが、不動産をだれが相続するかが決まるまでは、預貯金の相続手続きを進めないようにするというのがポイントだと思います。

不動産をだれが相続するかが決まるまでは、できるだけ預貯金の相続手続きを進めないようにする理由としては、一言でいうと預貯金を解約してしまうと相続人の関心がなくなるからです

預貯金や現金は、取得によるメリットしかないので、どのような立場の相続人も積極的に解約手続きに協力してくれます

これに対し、確かに、不動産には売却による売却益取得というメリットもありますが、所有者の管理責任や固定資産税の支払い負担があるので、所有者を誰にするかは検討を要します

そのため、不動産の相続手続き(遺産分割協議⇒相続登記)を後回しにすると、数年間放置されてしまうということになります。

ですから、遺産分割を円滑に漏れなく行うためには、まずは、不動産を相続する方を決めてから、預貯金額で調整するというのがよいでしょう

必ずしも法定相続分で分ける必要はない

紛争性の強い相続案件(弁護士案件)でない限りは、基本的に、相続人の方々は妥当な解決に向けて動いてくれることが多いです。その際、きっちり法定相続分(民法900条各号に定められている相続割合)で分けないで協議を進めることが多いです

特に、不動産については、評価額が一律に決まるわけではありませんので、大まかな考え方で評価します。例えば、当事務所で行う際に参考にする基準としては固定資産税評価額です。

固定資産税評価額は、自治体が一定の判断基準で決めた評価額ですので、居住中でも空き家としても妥当な金額となることが多いです

お客様においては、財産を均等に分けなければいけないと思われている方もおられますが、遺産分割は、諸事情を考慮して、法定相続人の方々の間で自由に分けることのできるものでありますので、法定相続人の方々全員が合意すれば、自由な分け方をすることができます

(法定相続分)
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。

民法

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今回のコラムでは、不動産の相続手続きを後回しにすることの弊害について解説しましたが、相続問題は複数の事柄が複雑に絡み合うものでありますので、一度相続専門の事務所にご相談することをお勧めします。

札幌市内や北海道の相続についてですと、たまき行政書士事務所にお問合せいただくと相続についてのお悩みが解決できるかもしれません

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