相続の前後で固定資産税を支払う方は誰になるのか?
相続・遺言コラム相続のご相談を受けると固定資産税に関するご相談を受けることが多々あります。
当ホームページは相続専門になりますので、今回は固定資産税について、特に相続の前後でだれが固定資産税を払うのかを中心に解説したいと思います。
ちなみに、役所の方は、税金を誰に支払ってもらうかは特に問題としておらず、納期までに支払いを続けていれば何も問題になることはありません。
固定資産税とは
固定資産税とは、土地や家屋などの不動産(固定資産)に一定の割合でかかる税金(地方税)のことを言います。土地や家屋だけでなく、物置や車庫など、少なくとも3方向に壁がある建物も固定資産税の課税の対象となります。
地方税ですので、不動産の所在する自治体(例えば、札幌市であれば札幌市の市税事務所)から固定資産税納税通知書兼支払書が届きます。札幌市では、毎年4月の下旬に届きますが、自治体によっては、5月上旬に固定資産税納税通知書が届くこともあります。
ちなみに、柱と屋根のみのカーポートは建物とは言えないため、固定資産税の対象とはなっておりません。北海道では、柱と屋根のみのカーポートに、冬限定で自作のビニールシート壁を取り付けているお宅をお見かけすることが多いですが、これは固定資産税対策と思われます。
固定資産税の計算は、特例などもあり複雑ですが、土地の値段が高い地域であればあるほど固定資産税が高くなります。
札幌市の住宅街の固定資産税の年間支払い額は、5万円~15万円の間くらいが最も多いと思われます。
参考サイト
だれがいつ固定資産税を請求されるか
だれが請求されるか
大原則としては、固定資産税は土地や家屋などの不動産(固定資産)の所有者が請求されます。
ただし、1年(1月1日~12月31日の期間)の間に相続、贈与、売買などで所有者が変更することもあるため、固定資産税の請求は、便宜上、1月1日時点(賦課期日)の所有者に、その年の4月下旬から5月上旬に請求が行く仕組みとなっております。
1年の期間中に名義変更が行われた場合
登記済みの不動産の名義変更をすると、不動産を所有する自治体の固定資産税課などに自動的に通知されるようになっています。
もっとも、登記簿に記載のない未登記建物を名義変更する場合は、新所有者が自ら所有者変更届などを提出しなければ、自治体は固定資産税の請求先を把握できません。
北海道では未登記建物が多く見受けられます。例えば、親から相続した土地に現金払いで建物を購入した場合には、建物が未登記建物となっていることがあります。
住宅ローンを組んでいる場合には、ほぼ間違いなく登記済み建物となっております。なぜなら、住宅ローンを組む際に設定する共同抵当権は、登記済みでないと設定できないからです。
相続発生の場合の固定資産の請求の流れ
所有者の相続(死亡)が発生した場合には、所有者の死亡日が基準となりますので、遺産分割協議等で新所有者が決まったら、相続発生日に遡って新所有者が固定資産税の納税をする必要があります。
もっとも、実際には、1月1日時点の所有者を基準に、同年の4月下旬から5月上旬に4期に分けて固定資産税納税通知書兼請求書が届きます。
そのため、固定資産税の支払い時には、固定資産を相続することになる新所有者が、旧所有者である被相続人名義の納税通知書兼請求書で固定資産税を支払うこととなります。
相続発生から数か月後に納税義務者の届出依頼が来る理由について
固定資産の所有者に相続が発生(所有者が死亡する)しても、役所は所有者が死亡したことを把握できません。
また、所有者が死亡したことを把握できたとしても、次にだれが相続するかまではわかりません。そこで、自治体の固定資産税の納税課の方は、所有者の死亡から数か月後に、固定資産の納税義務者(納税代表者ともいう)の届出を提出するように求めて、書類を送付します。
納税義務者の届出用紙は、基本的には相続人の1人に送られます。同居の相続人がいれば同居の相続人宛てに納税義務者の届出用紙が届きます。
以下、事例を挙げて説明します。
実際にあった相談事例と回答
相談事例
札幌市北区に自宅土地建物を所有している山田太郎さん。
山田太郎さんは妻の山田花子さんに先立たれ、長男の山田一郎さん夫婦と自宅で一緒に暮らしていた。
法定相続人は、山田一郎さんのほかに、二男の山田二郎さん(江別市在住)と長女の佐藤美咲さん(函館市在住)がいる。
山田太郎さんは、令和3年6月28日に死亡。令和3年8月のお盆期間中にちょうど四十九日法要があり、札幌市北区の自宅に一郎さん、二郎さん、美咲さんが集まっていた。
相続人3人全員の遺産分割協議により、同居の一郎さんが自宅土地建物を取得することになったが、札幌市の市税事務所から納税義務者の届出用紙が届いていて、締切日が過ぎてしまっていたがどうすればよいか。
固定資産税納税通知書は未払いの分が2期分あり、この分をいつだれが払えばよいかもわからない。
回答
令和3年1月1日の賦課期日時点では、山田太郎さんが自宅土地建物の所有者でしたので、令和3年4月下旬に届いた固定資産税納税通知書は、山田太郎さん宛てになっています。
遺産分割協議により、自宅土地建物の新所有者は長男の一郎さんになったので、この場合、長男の一郎さんが残っている2期分の固定資産税を支払うこととなります。
また、納税義務者の届出用紙については、役所としては、相続登記さえ迅速にしてくれれば、届出用紙は提出されなくても特に問題ないので、令和3年12月31日までに相続登記を完了させれば、納税義務者の届出用紙は提出が締切日に間に合わなくても、あるいは提出しなくても特に問題ありません。
令和3年12月31日までに登記が完了すると、令和4年1月1日の所有者(所有権登記名義人)は長男の一郎さんとなるので、令和4年4月下旬ごろには、長男の一郎さん名義で固定資産税の納税通知書兼請求書が自動的に届き、令和4年以降は、届いた固定資産税の請求書で長男の一郎さんが固定資産税を支払えばよいということになります。
以上のような回答となります。
お気軽に専門家へご相談を
相続の相談は、手続きの観点、税の観点、役所への各種届出の観点などから総合的に、かつ個別具体的にお話しする必要があるので、かなりの経験と知識が必要となります。
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