【遺言を作成した方が良い方】
第9話 二世帯住宅の所有者の方
相続・遺言コラム
二世帯住宅(父名義)に子供さん夫婦と孫が住んでいるケース
二世帯住宅に暮らしている方の名義は、多くの場合、全部もしくは、2分の1程度が父であることが多いです。将来の老後に備えて子供さん夫婦と暮らすことになり、土地や建物の費用は、父が出資するということがよくあります。
典型事例
典型事例としては、札幌市内に父・母(先に死亡)・長男夫婦・長男の子(孫)が二世帯住宅に住んでいて、父名義であるというケースです。
ちなみに、この父母の間には、長男の他に、二男と長女(いずれも札幌市以外に居住)がいるとします。
また、事案をシンプルにするため、母は父より先に死亡していると仮定します。父の財産は、二世帯住宅の他に、預貯金合計700万円とし、二世帯住宅の土地建物の市場評価額は、計2000万円(札幌市から出ている固定資産評価額は、1600円)とします。
将来、名義人である父が死亡すると、相続人は、長男、二男、長女の3人となり、相続財産は、2700万円となります。
遺言が無い場合⇒遺産分割協議
遺言が無い場合、3名が対等な立場で遺産分割協議をすることとなります。
相続人3名の仲がよく、長男夫婦に同居してもらっていたことに二男、長女が感謝をしている状況だとすると、例えば、2000万円の評価額の二世帯住宅を長男が取得し、二男、長女が預貯金を半分にして350万円ずつとすることができます。
遺産分割は、必ずしも均等に分ける必要があるわけではないからです。
ただし、相続人3名の関係性が普段からあまり良くはなく、長男夫婦に対して、二男や長女からの不満がある場合、二世帯住宅を長男が取得してしまうと、自分の取り分が少なくなるため、遺産分割協議書に署名押印してくれない可能性があります。
そのときは、長男は、遺産ではなく、自分自身の預貯金から代償金を二男、長女へ支払い、遺産分割協議書へ署名押印してもらうということが考えられます。
また、二世帯住宅の価格は、一律に決まるわけではないため、二世帯住宅(土地付き)の評価額に不満がある場合、なかなか代償金の額が決まらないこともあり、最悪の場合には、遺産分割協議決裂ということにもなります。
特に、評価額で問題となるのが二世帯住宅の下の土地の評価額です。
土地は、
- 固定資産税評価額
- 国税庁路線価額
- 公示価格
- 市場価格
- 鑑定評価額
といくつも評価額の基準があるため、札幌市のような土地の比較的高い場所の相続においては、揉めることとなります。
具体的には、二世帯住宅を取得しようとする長男は、固定資産税評価額で評価してほしくなりますし、二男、長女としては少なくとも路線価で評価してもらいたいと考えます。
ちなみに、一般的な土地評価額の違いですが、固定資産税評価額<国税庁路線価額<公示価格といわれています。
市場価格や鑑定評価額(不動産鑑定士が出す評価額)は、個別に判断されますので、比べることはできません。
遺言があり遺言執行者の記載がある場合
遺言(特に、公正証書遺言)を作成しており、かつ、遺言執行者(長男を指定するなど)の記載がある場合、少なくとも二世帯住宅について、同居の長男に残すこと(相続させること)ができます。
遺留分減殺請求権という権利は残りますが、様々な事情を考慮し長男へ二世帯住宅も含めすべて相続させるということもできます。
公正証書遺言を作成していると少なくとも手続きは最後まで行うことができます
相続が発生して一番問題であろうと考えられることは、不動産の所有者であった場合、不動産の名義が変更できないままになるということだと思います。
公正証書遺言を作成してあり、かつ、遺言執行者の指定がある場合、遺言執行者の権限で相続手続きは完了させることができます。公正証書遺言であれば、自筆証書遺言と異なり遺言が無効になる可能性は非常に低く安全でもあります。
あとで、遺留分の行使は財産を残されなかった相続人からなされる可能性がありますが、遺産分割協議をする必要がないため、事実上相続財産が凍結されてしまうということはありません。
【結論】二世帯住宅所有者は公正証書遺言の作成が必須
二世帯住宅に住んでいる方々は、例外もありますが、基本的に親と子、子の子供(孫)との間に信頼関係があり、同居(物理的な壁はありますが)の方に相続させたいという想いが強いと思います。
しかし、特に北海道内では、札幌市内のような地価が高い住宅地が相続財産にあると、不動産があるがゆえに遺産分割協議がまとまらないことがあります。
特に、二世帯住宅では、不動産価格が高くなりますので、同居の子が相続できないということにならないように、公正証書遺言(遺言執行者指定の記載あり)を元気なうちに作成した方がよいでしょう。
たまき行政書士事務所では、北海道内であれば遺言の無料訪問相談を行っております。
参考記事
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