上場リートの相続とは

相続・遺言コラム

わかりにくい上場リート(REIT)という金融商品

被相続人の保有資産としては、一般的には、不動産は自宅、金融資産は預貯金が中心となりますが、金融資産の中には、上場株式、投資信託などもあります。

例えば、上場株式であれば、トヨタやNTTなど一流企業と呼ばれる会社名となりますので一般の方にも少しイメージしやすいと思います。また、最近NISAで人気の投資信託は、一番有名なものとして日経225インデックスファンドや米国のS&P500、○○ファンドラップと聞きなれた投資信託の商品があります。

しかし、投資信託の中には、上場リートというものもありますリート(REIT)とは、投資家から集めた資金で不動産への投資を行いそこから得られる賃料収入や、不動産の売却益を投資家に配当するという金融商品です。REITは、投資対象を不動産に絞った投資信託と考えればよいでしょう。REITのREは、不動産を意味する「REAL ESTATE」の英語から由来しています。

不動産投資の直接投資(現物への投資)は、経験の浅い一般の方が挑戦すると高額な借り入れや在庫リスク、将来の解体リスク、賃借人の孤独死リスクなど様々なリスクが伴うため失敗しやすいですが、上場リートであれば、少額から気軽に不動産に関する投資ができ、かつ、投資のプロが運用するので不動産の現物投資よりリスクが少なくリターンも十分に期待できるといえるでしょう。

上場リートの相続

上場リートの銘柄は、名前が聞きなれないものばかりです。たまき行政書士事務所でも上場リートが出てきたときは、一瞬、どのような金融商品なのかと迷ってしまうことがあります。例えば、最近の調査で出てきた上場リートとしては、マリモ地方創生リート法人というものがありました。一般的に聞く、会社名ではなく、投資法人という名前がついているところが、上場リートの特徴です

上場リートは、上場株式のように証券会社経由で購入し、証券会社で保管されており、配当などは、上場リートの銘柄ごとに担当している信託銀行が行います。信託銀行は、投資者の名簿の管理や配当の支給を担当しています。

上場リートの相続手続き

基本的に、上場リートが出てきたときは、証券会社にて移管手続き(株式、投資信託の相続手続きを専門用語で、移管(いかん)と呼びます。)をするとともに、配当を管理している信託銀行に未受領配当金の相続手続きを行います。

具体的な上場リートの移管作業の流れ

① 証券会社に調査を掛ける

上場リートを保管している証券会社(例えば、野村證券、大和証券、SBI証券、楽天証券、マネックス証券など)に残高証明書発行請求を行います。

残高証明書の発行は、死亡日で行います。残高証明書を請求すると死亡日に何の銘柄を保有していたのかが正確にわかります。

② 証券会社に配当支給の方式が、比例配分方式なのか従来方式なのか聞く

次に、証券会社に配当の方式が、比例配分方式なのか従来方式なのかを口頭で聞きます。比例配分方式とは、配当が出たら証券会社の預り金口座やMRFに自動的に入る仕組みのことをいいます。比例配分方式を採用している投資家は基本的にすべての証券会社で比例配分方式を採用しているため、比例配分方式とわかったら信託銀行への残高証明書発行請求などは基本的に不要です。比例配分方式は、比較的若い投資家は、採用していますが、70歳、80歳代の投資家については、ほとんどが従来方式です

従来方式とは、配当が出ると、信託銀行から指定の預金口座に振り込まれる、あるいは、ゆうちょ銀行の払出証書というもので金券として受け取っている方式のことをいいます。昔は、この従来方式が一般的でしたので、昔から投資をしている方については、従来方式である方が通常といえます。

従来方式の場合、かなりの確率で未受領配当(本人死亡のため受領できていない、あるいは、生前の受領忘れ)が生じておりますので、信託銀行への調査が必要となります。

今回の解説では、相続の場合(ご高齢者でお亡くなりになる方が多いため)多くの方が採用している従来方式であることを前提に進めます

③ 信託銀行へ調査を掛ける

配当の支給について、従来方式を採用していた投資家の被相続人の相続の場合、株主名簿管理人である信託銀行への残高証明書の発行請求が必要となります。信託銀行は主に大手3社です。合併、併合が近年進み小さな証券代行業者はほとんどなくなりました。

大手3社とは、三菱UFJ信託銀行、三井住友信託銀行、みずほ信託銀行です。そのため、株式銘柄、上場リートを保有している投資家の被相続人が亡くなった場合、最大3つの信託銀行にも残高証明書発行請求をすることになります

ただし、銘柄ごとに株主名簿管理人である信託銀行は指定されておりますので、たまたま、銘柄ごとに検索した結果、株主名簿管理人である信託銀行が1つであった場合には、その他2つの信託銀行には残高証明書発行請求などは不要です。

④ 財産目録作成、遺産分割協議、遺産分割協議書作成

次に、上場リートや信託銀行の未受領配当があることが確認出来ましたら、他の相続財産も併せて遺産分割協議、遺産分割協議書作成、遺産分割協議書への署名押印などを行います。(この部分は、不動産や預貯金等の相続手続きと同じです。)

⑤ 上場リートを取得する相続人が証券会社の口座開設をする

上場リートの移管には、事前に上場リートを相続する相続人の証券口座開設が必要となります。例えば、被相続人が野村證券のみと契約していたなら、野村證券に相続人の口座を作ります。仮に、SBI証券や楽天証券、マネックス証券など複数の証券会社と契約している被相続人の方の相続手続きの場合には、複数の証券会社の口座を相続人が作ります。この口座開設作業は、遺産分割協議が成立した後でもよいですし、最初から相続する方が決まっているのであれば、早期の段階で口座開設をしてもよいです。

ポイントは、被相続人と同じ証券会社にするということです。例えば、被相続人の方が野村證券に口座開設していたら、相続人も野村證券にすることです。他の証券会社の方が便利だとしても他の証券会社への移管作業は困難となります。

⑥ 証券会社と信託銀行にて相続手続きを行う

証券会社や信託銀行にて相続手続きを行うのですが、現在では、センター化が進み、証券会社の自社の東京にある相続センター、信託銀行の自社の東京や大阪にある相続センターの方で行っております。そのため、札幌市にお住まいの方がお亡くなりになっても、郵送で東京の各証券会社、信託銀行のセンターの方で行います。これが、証券会社の相続のさらに難しくさせる原因でもあります。

当事務所のある札幌市でいうと北洋証券、野村證券、大和証券など札幌市内に店舗の存在する証券会社であれば証券会社の窓口で手続きを行うことができます。

信託銀行も同様に支店窓口があれば、支店窓口にて手続きのサポートを受けることができます。

ただ、基本的には証券会社、信託銀行は、相続センターへの郵送対応が原則となりますので、郵送で行う必要があります。特に、インターネット系証券会社は郵送のみとなります。

上場リートについても、相続人の証券会社の口座に上場リートを移管させるという流れになります

以上の流れとなりますが、かなりマニアックな内容の説明なので、読んでいる方もかなり理解が難しいと思いますので、ここではなんとなく大変な相続になりそうだと思っていただければよいのかなと思います。

上場リートの相続は専門家に相談するとよいでしょう

上場リートが出てくるような相続の場合、被相続人の方はかなりの投資の上級者であることが予想されます。

そのため、おそらく上場リートの他に、多数の上場株式の保有、投資信託(日本系インデックスファンドや外資系ファンド)も保有している確率が高いと思います。

証券会社に口座をお持ちの方が死亡したときの相続手続きは、相続相談を行っている士業の方でも経験が浅い方が多いですので、相続手続きに特化している専門の事務所に相談や依頼をするとよいでしょう

札幌市北区にある相続専門のたまき行政書士事務所では、難しい証券の相続手続きについてご相談、ご依頼をお受けしております。自分でできるところまで調べたけれどやっぱり難しいと感じた場合には、たまき行政書士事務所にお気軽にご相談ください

このページの著者

たまき行政書士事務所
代表 行政書士 田巻 裕康

大学卒業後、サービス業の仕事を長年経験。その後、29歳で初めて本格的に法律を学びはじめる。行政書士に合格し、東京にある、相続遺言専門の行政書士事務所で勤務。もっと、ゆっくりと時間をかけてお客様に寄り添いたい気持ちが強くなり、第二の故郷である札幌にて独立し、たまき行政書士事務所を開業。

保有資格
行政書士・宅地建物取引士

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