【遺言を作成した方が良い方】
第29話 夫婦共働きで夫婦の間の子供がいない50代以上のご夫婦

相続・遺言コラム

子供のいないご夫婦について

  • 結婚をしたタイミングが遅かった
  • そもそも子供を作る予定がなかった
  • 子供を授かることがなかった
  • ネコや犬などのペットが好きなので特に子供を欲しなかった
  • 子供がいたが死別した

という様々な事情で夫婦の間の子供さんのいないご家庭があります。

近年では、価値観も多様となり結婚しても子供がいないというのもよくあることといえます。夫婦に子供さんがいない場合、男性、女性ともに体が元気なうちは働くことが多いですし、夫は妻のおかげで浪費もすることなく、かつ、妻側も夫と同じようにキャリアアップをしますので、世帯全体で高収入であることが多いです。

また、北海道であれば、断熱性能の違いで、賃貸ではなく、持ち家を夫の単独所有もしくは、夫婦の共有としていることがあり、自宅土地建物(不動産)を所有していることがほとんどです

子供のいないご夫婦は、遺言(特に公正証書遺言)の作成が必須といえます。50代位(おそくとも70歳代)から遺言を作成することで自身の配偶者を保護することができます。

以下その理由を解説します。

子供がいない夫婦のどちらかが死亡したらどうなるか(だれが相続するのか)

子供がいない夫婦のどちらかが死亡すると、配偶者は常に相続人となります。しかし、第一順位、第二順位(父、母など直系尊属)の相続人がいないため、第三順位の兄弟姉妹(兄弟姉妹のうち死亡している方がいれば、甥や姪)が相続人となります

※もちろん、配偶者の父や母の中で、長寿によりご健在の方がいれば、兄弟姉妹ではなく、配偶者と死亡した配偶者の父または母が相続人となりますが、ほとんどのケースでは、子供のいない夫婦の相続では父と母が死亡しているため、兄弟姉妹(兄弟姉妹のうち死亡している方がいれば、甥や姪)が相続人となります。

よく誤解されるのが、子供のいない配偶者が死亡した場合、配偶者がすべて相続するから問題ないと考えている方がいます。また、預貯金は兄弟姉妹に行くことは理解しているが、夫婦共有の不動産については、配偶者が当然に相続すると誤解している方がいます

しかし、不動産、預貯金、車、貯蓄性のある保険などはすべて配偶者と兄弟姉妹(兄弟姉妹のうち死亡している方がいれば、甥や姪)が相続人となり、亡くなった配偶者の財産のすべてが遺産分割協議の対象(相続財産)となります。

長年寄り添ってきた配偶者が死亡した後に、配偶者の兄弟姉妹(兄弟姉妹のうち死亡している方がいれば、甥や姪)と遺産分割協議をするというのはとても大変なことといえます。

子供がいない夫婦の具体的事例(北海道札幌市西区を想定)

子供がいない夫婦の具体的事例※ グレーの背景は夫より先に死亡夫が死亡したときの具体例を挙げてみます。

この場合、夫(被相続人)の相続人は、妻(配偶者)と兄の子姉の子A姉の子B姉の子C夫の弟夫の妹の7人となります。

また、仮に、法定相続分通りに分けようとすると合計5000万円の4分の3が妻3750万円兄の子が(1/4×1/4(きょうだい4人なので)=1/16)で312万円姉の子ABCがそれぞれ(1/4×1/4×1/3(姉の代襲相続人3人なので)=1/48)104万円ずつ、弟と妹が1/16で312万円となります。

つまり、妻が3750万円に対し、兄弟姉妹系列が合計約1250万円となります。

遺産分割は、自由な合意で確定しますので、上記のような割合にそのまま分割されるわけではないですが、一人でも法律上の割合を求めた場合には、上記のようになるケースが多いです

相続人法定相続分
妻(配偶者)3750万円
兄の子312万円(1/4×1/4=1/16)
姉の子A104万円(1/4×1/4×1/3=1/48)
姉の子B104万円(1/4×1/4×1/3=1/48)
姉の子C104万円(1/4×1/4×1/3=1/48)
312万円(1/4×1/4=1/16)
312万円(1/4×1/4=1/16)

預貯金が全部兄弟姉妹系列に渡る可能性あり

上記の具体例で、仮に法定相続分通りに分け、自宅は妻が相続すると仮定すると、妻は、夫の預金(1000万円)では248万円足りず、妻自身の財産から248万円を捻出しなければいけなくなる結果となります

夫が死亡し悲しみに暮れる中、終の棲家として購入した自宅に住み続けるために特に交流のなかった夫の兄弟系列に248万円もの金額を妻自身の財産からも追加で支払うという結果となります。

確かに、3/4という十分配慮された割合で取得しているともいえますが、どうも納得がいかない結論であることはわかると思います

配偶者の兄弟姉妹とは疎遠や犬猿の仲であることも多い

死亡した配偶者の兄弟姉妹(兄弟姉妹のうち死亡している方がいれば、甥や姪)と残された配偶者自身が円満な関係というのはむしろ稀です。ご年配の方は個性の強い方も多く特に男性側の兄弟姉妹は、仲が悪いとまではいかなくてもしばらく疎遠であることがほとんどであるといえます。

この疎遠な兄弟姉妹系列と遺産分割の話し合いをすること自体が残された配偶者にとっては苦痛であるといえるでしょう

公正証書遺言を作成しておけばほとんど解決できる

これまで何も対策をせずに子供のいない夫婦の一方が死亡した後の話をしてきましたが、大変なことになることは予想できたと思います。これを解決する対策としては、公正証書遺言を作成することです

公正証書遺言とは、自筆証書遺言とは異なり、公証人の面前で作成した遺言です。公正証書遺言を作成するための要件としては、

  • ① 相続に利害関係のない証人が2人立ち会うこと
  • ② 回りに人がいない別室で作成すること
  • ③ 元裁判官や元検察官元弁護士などがなる公証人の面前で作成し
  • ④ 公証人が本人確認、判断能力の確認などしたうえで
  • ⑤ 公証人及び証人2人、遺言者本人が遺言に署名押印する

などです。

このように厳格な要件のもと作成するのが公正証書遺言であるため、遺言の無効を主張されることがほぼなく、銀行や法務局でも信頼のある遺言として処理してくれます

また、公正証書遺言は、自筆証書とは異なり家庭裁判所の検認手続きが一切不要で、すぐに相続手続きが開始できます

兄弟姉妹(又は、甥や姪)相続事案では兄弟姉妹(又は、甥や姪)に遺留分侵害請求権がない

子供のいない夫婦に遺言を作成した方が絶対に良いといえる理由は、上記のように残された配偶者に苦労させないという理由の他に、兄弟姉妹系列には遺留分侵害請求権(いわゆる遺留分)がないということです

遺留分は、簡単に説明すると遺言によって侵害された権利を遺言によって不利益となった相続人が主張する権利です。

この遺留分侵害請求権が、兄弟姉妹系列には法律上規定がありません。そのため、しっかりと公正証書遺言を作成しておけば、あとでぶり返されることなく、その通りの結果となります

後で揉めたくないから作らないという理由はない(子供のいない夫婦は公正証書遺言を絶対に作った方がよい)といえます。

夫だけでなく妻も公正証書遺言を作成すべき

今回の記事では、夫が死亡したことを想定して具体例を挙げましたが、妻も同様に公正証書遺言を作成すべきといえます。

妻側は、不動産を所有しているケースは少ないですが、夫婦共働きの場合、むしろ妻の預貯金額が夫よりも多いという事例も多く見かけられますので、妻が先に死亡した場合に夫の生活を保護するため、妻も例えば、‘‘夫にすべて相続させる’’という内容の公正証書遺言を作成するとよいでしょう

遺言を作成するときは一緒に作るのがおすすめ

公正証書遺言を作成する場合は、ある程度手間もかかりますので、同時期に作成するのがよいでしょう。公正証書遺言の作成は、

  • ① 直接公証役場に行って公証人と作成する場合
  • ② たまき行政書士事務所で行っているように行政書士など専門家のサポートを受けて作成する場合

と二通りの作り方があります。

遺言の専門家のサポートを受ける場合、夫婦同時に依頼する方が費用も抑えられますので、夫が作るときには妻も同時に作成した方がよいでしょう

たまき行政書士事務所では、子供のいないご夫婦からご相談を受ける場合、結果的にほとんどの方が夫婦同時に公正証書遺言を作成しております。

行政書士や弁護士だからといってすべての方がサポートをしているわけではない

遺言や相続の分野は、いわゆる士業の業務の中でも特に専門性が高い分野です。1年間に1件程度しか相続や遺言に携わっていない士業者であると、経験が不足しており、十分な対応ができるものではないといえます。

行政書士法、弁護士法などの関係で、遺言のサポートをしているのは、行政書士か弁護士か司法書士や信託銀行に限定されますが、その中でも特に遺言や相続を専門としているところに相談するとよいでしょう

開業以来、相続と遺言が専門のたまき行政書士事務所(札幌市北区)では、相続と遺言に関するご相談を年間を通してお受けしております。北海道内でしたら、交通費なども一切無料で無料訪問相談を行っております。

施設にご入居中の方であれば、施設にお伺いして1時間以上かけて状況をお聞きします。

遺言を検討中の方や子供のいない夫婦のお世話をしている姪の方などご親族の方のご相談もお受けしております。

まずは、お気軽にお電話メールLINEにてお問い合わせください。

このページの著者

たまき行政書士事務所
代表 行政書士 田巻 裕康

大学卒業後、サービス業の仕事を長年経験。その後、29歳で初めて本格的に法律を学びはじめる。行政書士に合格し、東京にある、相続遺言専門の行政書士事務所で勤務。もっと、ゆっくりと時間をかけてお客様に寄り添いたい気持ちが強くなり、第二の故郷である札幌にて独立し、たまき行政書士事務所を開業。

保有資格
行政書士・宅地建物取引士

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