【遺言を作成した方が良い方】
第25話 苦労をかけた元妻に財産を残したい男性
相続・遺言コラム
関係図と事案概要
遺言者(今回遺言を作成しようとしている方)は、今から30年前の当時、仕事が安定せず、タバコ・酒・ギャンブル(パチンコ、麻雀)もしていたため、妻と協議離婚をし、当時10歳だった長男は、妻(以後、「元妻」と呼びます。)について出ていった。
遺言者は、養育費を支払う意思はあったが、職が安定せず、最初の1年のみの支払いで、その後、養育費を一切払っていなかった。元妻は、その後再婚することなく元妻のご両親と長男を育てていった。長男は、30年以上離れて暮らしている父に当たる遺言者の記憶はそれほど残っていない。
長男は公務員となり生活が安定しており生活に苦労はなさそうと遠い親族から聞いているが、元妻は一人暮らしでアパートに暮らしているとのことだった。
遺言者(男性)は、その後堅実な生活をし、ある程度の預貯金(1500万円)をためることができた。元妻や長男には当時大変苦労を掛けたので後悔している。
元妻は法定相続人ではない
上記の事情は、守秘義務があるため、かなり事案の加工や簡略化はしておりますが、実際に相談があり公正証書遺言の作成のサポートをした類似の事案です。
元妻は、離婚と同時に法定相続人ではなくなり、遺言を作成するなどしない限り、遺言者の法定相続人は長男一人のみで元妻には一切遺産が入りません。
このようなとき、元妻に遺産を渡したい場合、元妻に遺贈という形で財産を残すことができます。
例えば、「元妻○○○○に全財産の2分の1を遺贈する」という公正証書遺言を残し、遺言執行者に行政書士や司法書士、弁護士を指定するとぼぼ確実に元妻に遺産を渡すことができます。
元妻に遺産を残すという趣旨の公正証書遺言を作成し、公正証書遺言の本文外の付言事項(ふげんじこう)に、例えば「〇〇さんには、離婚後大変苦労を掛けました。長男を立派に育ててくれて大変感謝しております。わずかですが受け取っていただきたいと思います。」とこのようなメッセージを一緒に添えることもできます。
確実に受け取っていただきたい場合には遺言執行者の指定を
このように法定相続人以外の方に財産を遺言によって渡す行為を遺贈(いぞう)といいますが、遺贈したい財産を確実に受け取ってもらうには、法律の専門家あるいは信頼のおける第三者に遺言執行者に就任してもらうというのが良いです。
遺言執行者の指定がない場合、法定相続人で遺産をすべて相続してしまうことが物理的に可能であるため、それを止める必要があるからです。
遺言執行者の業務というのは簡単ではないですが、特に資格はいりません。ただし、法定相続人と利害関係がない方が適切といえます。
なぜなら、利害関係がある場合、場合によっては、法定相続人に遺言によって遺産を処理するのをやめるように言い寄られることがあるからです。
また、元妻は受取を辞退し、長男にすべて渡すことを希望するかもしれません。この場合でも、遺言執行者がいれば、「故人の意思ですので、基本的に受け取ってください」と当時の遺言を作成したときの状況を加えてお話しすることができます。
遺言を作成しようと思う方は、自分でひっそりと作成するのではなく法律家に相談を
遺言は、作成したら終わりではありません。遺言通りに死後に執行される(遺産の移転まですること)ことが大切です。そのために、まずは、自筆証書遺言ではなく公正証書遺言を作成しましょう。
自筆証書遺言は、自分の直筆で書くためドラマチックではありますが、紛争が高い確率で生じます。
一方で、公正証書遺言は、公証役場で作成するのですが、自分で公証役場に出向き遺言を作成するのは少しハードルが高いかもしれません。資料の収集を自分でする必要があるからです。また、公証人との相性の問題もあります。
そのため、札幌市内や北海道内であれば、相続遺言専門のたまき行政書士事務所(事務所:札幌市北区)にご相談をする、あるいは、近くの遺言に詳しい専門家に相談するなどするとよいでしょう。
その他の遺言を作成した方が良い方
- 1. 財産の構成で不動産の割合が大きい方
- 2. いわゆる“おひとりさま”(自身の子供なし、両親死亡、配偶者が先に死亡(または独身)の場合
- 3. 主たる財産が自宅のみで、かつ自身に子供がいない方
- 4. 養子に出している子がいる方
- 5. 現在2回目の結婚をしていて、前妻との間に子供がいる男性
- 6. 樺太や外国で生まれた方、外国人と結婚した方
- 7. 相続人の一人が「父の死亡後はきっちり均等に分けたい」と言っている場合
- 8. 帰化した日本人の方
- 9. 二世帯住宅の所有者の方
- 10. 推定相続人の中に認知症や障害のある方がいる場合
- 11. 実家に何年も帰ってこない子供がいる親御様
- 12. いわゆる“相続税案件”になることが予想される方
- 13. 夫婦でペアローンを組んで住宅を共有している夫婦(記事では、札幌市内の夫婦を想定)
- 14. 財産の構成で株式や投資信託の割合が大きい方
- 15. 養子縁組をしている方〔養親になった方向け〕
- 16. 養子縁組をしている方〔養子になった方向け〕
- 17. エンディングノートを作成している方
- 18. 非上場会社のオーナー社長
- 19. 一人っ子、かつ、独身で両親が死亡している方
- 20. 複数の子供がいるが一人の子供に過去に不動産など大きな贈与をしている方
- 21. 大地主、不動産投資家の方
- 22. 夫が妻の両親の婿養子に入ったご夫婦で夫婦に子供がいない方(2人とも遺言が必要)
- 23. 今は独り身だが、かつて結婚をしていて前妻との間の子がいる男性
- 24. 息子夫婦の自宅の土地として自身の土地を提供している父
- 25. 苦労をかけた元妻に財産を残したい男性
- 26. 前妻と子供が夫名義の自宅に住んでいる場合の夫
- 27. 自分の子供(死亡)が外国人と結婚していた親の方
- 28. 自分の土地の上に娘夫婦の自宅を建てさせたお父様
- 29. 夫婦共働きで夫婦の間の子供がいない50代以上のご夫婦
- 30. 推定相続人の中に戸籍が途切れている方がいるケース
全てのケースを見る
無料訪問相談・無料テレビ電話相談のご予約や、ご質問等はお気軽に
たまき行政書士事務所の無料訪問相談について >>
【新型コロナ対策】LINEビデオ、ZOOM、Skypeでの無料テレビ電話相談も可能 ≫
道内でも札幌から遠方の方(稚内市や根室市、北見市、函館市)はZOOM等リモート面会だと、即日ご相談が可能です。北海道外の本州からもZOOMでの相続相談を積極的に行っております。難しい相続事案などで近くの事務所で断られた案件など、相続専門のたまき行政書士事務所にお気軽にご相談ください。他の事務所で解決できなかった事案でも、解決できることが多々あります。

たまき行政書士事務所の
ごあんないABOUT
相続・遺言専門のたまき行政書士事務所
- 代表 行政書士 田巻裕康
-
[住所]
北海道札幌市北区北32条西5丁目3-28
SAKURA-N32 1F
011-214-0467
070-4308-1398(行政書士直通電話)
電話受付:平日9時~18時 - [交通アクセス]
地下鉄南北線:北34条駅(3番出口)から徒歩1分
相続遺言YouTube教室 随時更新中!
行政書士田巻裕康による相続・遺言に関する解説動画をYouTubeにて公開中。一般のお客様はもちろん、相続実務を行ったことのない行政書士の方もぜひご活用ください。






