上場株式の相続の例外的な移管について
相続・遺言コラム上場株式とは
ほとんどの中小企業は株式会社の形態を採るものの、株主構成の実態については、閉鎖的で代表者自身や親族、あるいは、一緒に起業した仲間が株式をもっています。そのため、例えば、札幌市内で営業している株式会社に関心があったとしてもその会社の株式を赤の他人が購入できることは基本的にありません(正確には、取締役会の承認などが必要になります。)。
会社に知らない外部の資本(他人のお金)が入り込むと中小企業は会社経営がやりにくくなるだけであるからです。
これに対し、上場株式とは、株式市場で買うことのできる会社の株式です。NTT株やトヨタ株、ニトリ株といったものです。これは、証券会社に口座を作ることができれば、だれでも購入することができます。
相続においては、上場株式を証券会社などで保有している場合、上場株式に対し、相続人全員で遺産分割協議(ただし、遺言がある場合には遺産分割協議は不要)を経て、相続人が相続することになります。
基本的な上場株式の相続の流れ
野村證券に口座をお持ちの方(以下、「被相続人」といいます。)が亡くなると、相続人は基本的に被相続人と同じ証券会社(野村證券)に口座を作りまして、上場株式、預り金、投資信託などを丸ごと移管します。ちなみに、株式の相続手続のことを一般に、移管(いかん)と呼びます。
例えば、被相続人は野村證券、相続人は楽天証券の口座を持っていたとしても野村證券に口座を開設して移管作業をするのがスムーズです。
証券会社ではなく信託銀行に株式がある場合
いまでは珍しくなってきていますが、70歳代以上の方が亡くなると、証券会社ではなく、信託銀行にも上場株式を保有している場合があります。
最近投資を初めた若い方(30歳~40歳代)の相続手続きではお目にかかることがありませんが、ひと昔前(2009年に株式が電子化したころから)は、信託銀行でも株式を保管している時期がありました。その名残で、新たには信託銀行で株式を保有することはないのですが、2009年以前から信託銀行で株式を保管していた方については、死亡した際にも信託銀行の特別口座に株式を保有していることがあります。
具体的には、同一人物でも野村證券にNTT株を10,000株、三井住友信託銀行の特別口座に100株保有しているということがあります。
相続が発生した場合には、三井住友信託銀行の特別口座にある100株についても移管(相続手続き)しなければなりません。
先ほど、被相続人の証券会社と同一の証券会社の口座を相続人が作ると話しましたが、野村證券のNTT株10,000株については、相続人が野村證券に口座を作りNTT株10,000株を移管させればよいのですが、三井住友信託銀行は証券会社ではないため、三井住友信託銀行の特別口座内の100株についてはどのように移管(相続手続き)をすればよいのかが問題となります。
機構加入者口座番号21桁を利用して口座振替
信託銀行の特別口座内の上場株式については、証券保管振替機構(通称ほふり)の口座振替という制度を利用します。この制度を使い上場株式を異なる証券会社に移動することができます。
例えば、野村證券でいえば、「野村證券 札幌支店 ○○○○○○」というのが口座番号になるのですが、この口座番号では、異なる機関(A信託銀行⇒野村証券や楽天証券⇒野村証券)に上場株式を移転することができません。
異なる機関で上場株式を移動(振替)するには、機構加入者コード7桁、機構加入者口座番号21桁を用いて行います。
話を先ほどの具体例に戻すと、被相続人名義の三井住友信託銀行の特別口座内のNTT株100株については、機構加入者コード7桁と機構加入者口座番号21桁という組み合わせのものを記載すると相続人の口座に移すことが出来ます。
そのため、野村證券と三井住友信託銀行にそれぞれ移管作業(相続手続、口座振替)を行う必要があり、最終的には、10,100株を野村証券に相続人が保有することになります。
この機構加入者コード7桁と機構加入者口座番号21桁は特殊な場面でしか利用しないため、機構加入者コード7桁も非公開となっております。
証券会社によっては、口座を開設したときに、自社の支店番号口座番号の他に、証券保管振替機構の機構加入者コード7桁、機構加入者口座番号21桁は、文書で同封していることがありますが、証券会社によっては、証券会社に聞かない限り教えてくれない場合もあります。
ちなみに、この制度は、証券保管振替機構に加盟している機関(証券会社等)同士でできるものですので、必ずしもどの機関で上場株式の移管(相続手続き、口座振替)ができるわけではありません。
証券会社によっては、他の証券会社に移すことはできませんと頑なに断られることがありますが、担当者がこのほふりの制度を知らないということも経験上ありました。
まとめ
今回のコラムは、異なる機関で上場株式を移管させる(相続手続き、口座振替)方法を中心に解説しましたが、上場株式の相続は相続手続きの中でもトップレベルに難しいものになります。そのため、上場株式をお持ちの方がお亡くなりになった場合には、自分で完結することはかなり難度が高いものになるため、専門家に最初から相談するのが良いと思います。
証券会社や信託銀行では、かなり丁寧な冊子を作り相続手続きを解説しておりますが、この冊子を解読するにも相当な基礎知識がないと読んでも訳が分からないという状況となります。
相続専門のたまき行政書士事務所(札幌市北区)では、いろいろなパターンの上場株式の移管作業(相続手続き、口座振替)を行っておりますので、札幌市や北海道内でお困りの方などは、一度たまき行政書士事務所の無料相続相談などをぜひご利用ください。
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