【遺言を作成した方が良い方】
第30話 推定相続人の中に戸籍が途切れている方がいるケース

相続・遺言コラム

戸籍がつながっていないと相続人の確定ができない

死亡が発生した後の相続手続きの前提として、戸籍を用いて相続人を全員分確定する必要があります。被相続人の出生から死亡までの戸籍を繋げて揃えることはもちろん重要ですが、相続人の戸籍が繋がらないというのも大変な問題となります

戸籍が繋がらないというのは、具体的には、樺太出身函館の大火による焼失などにより出生時の戸籍がないということや、外国人と結婚したなど中間の戸籍がないということが考えられます。また、保存期間の経過により戸籍が廃棄されていることがあるというのも戸籍が繋がらない原因となります。

現在では、文書といえば紙保管以外にデータでクラウド保存をしているのが通常ですが、昔は当然そのような保管技術はなかったため、紙で保管しておりました。そして、その紙に対して永久に保管義務が生じるとなると役所の負担が増えるため、一定の年数で廃棄が認められているのですが、現在のように除籍や改正原となってから150年という長期の保管義務はありませんでした

また、当時は現在ほど長くは生きられなかったため、人の寿命は80歳くらいまでと計算していたのが背景にあるのかもしれません。そのため、過去には保管義務年数が50年又は80年でした。

今回は、少しマニアックな内容ですが、相続人の戸籍が繋がらないケースについて解説します。相続人の戸籍が繋がらない場合には、遺言の作成が必須といえます。以下その理由を解説します。

戸籍の保存期間と問題となる具体例

繰り返しになりますが、戸籍の保存期間は、現在では、除籍や改正となってから150年ですが、過去には、改正や除籍となってから50年、80年という保存時期の時代がありました

そのため、例えば、50年の経過期間が過ぎ戸籍が廃棄されていることがよくあります。特に多いのが下の例でいえば、父の戸籍が途切れていることが良くあります。

【具体例】独身の方が死亡しいわゆる兄弟姉妹相続が生じているケース

子供がいない夫婦の具体的事例当事務所で実際に遭った事例を参考にしておりますが、独身の方が死亡し、両親が先に死亡し、兄弟姉妹(又は甥や姪)が相続人となる、いわゆる‘‘きょうだい相続’’の事例で、父の出生から死亡までの戸籍の一部が欠け、その欠けた部分の戸籍に長男の戸籍が載っていると予想される事案です

父の欠けた期間の戸籍以降の戸籍では、二男の記載から載っています。そうするとひとつ前の廃棄となった戸籍には、長男が記載されているということが推測されます。ところが、長男の生死や養子縁組などの事実が戸籍の廃棄により確認できません。そのため、今回の二女の相続人が、二男の子と長女であるということは確定できても、長男の行方が確認できないため、死亡した二女(被相続人)の相続人が確定できない事となります。

相続人が全員確定できないと相続手続きは基本的に不可

相続人が全員特定できないということは遺産分割協議ができないということを意味しています。そうなると銀行などの金融機関としては、相続手続きに応じることが基本的にできなくなります。

そのため、遺産分割協議をしなくても手続きをできるようにするためには、遺産分割協議自体が必要のない公正証書遺言を作成し生前の対策をとることです

なぜ公正証書遺言か

公正証書遺言は、公証人の面前で法律に定めた各種の形式を満たしたうえで作成される信用性の高いものです。そのため、自筆証書遺言のように検認という作業も必要ありません。

検認とは、相続人全員に通知した上で、家庭裁判所で遺言の認証を受ける手続です。その時、相続人が特定できない場合、一部の相続人に通知ができないため、相続人への遺言に対する意見を言う機会を与えられないため、検認も基本的にできないと考えた方がよいでしょう。

 

自筆証書遺言を手続きで使う際は、検認が必須ですので、相続人の戸籍が繋がっていない場合には、自筆証書遺言では不可となります

なお、自筆証書遺言の法務局による保管制度もありますが、現実にはあまり多くは利用されておりません。自筆証書遺言はあくまで法務局に預けても自筆証書遺言という扱いにかわりないですし、法務局に預ければ確かに検認が必要ないとは制度上なりますが、仮に形式上手続きをとることができたとしても金融機関などで解約に応じない可能性があります。

話を公正証書遺言に戻すと公正証書遺言は、検認が不要ということの他に、金融機関からの信頼性も高いです。自筆証書遺言のように慎重に審査されることもありません。

自筆証書遺言は経験的に不備が多く、偽造の可能性が常にあり、これに対し公正証書遺言は、少なくとも一人の法律家(公証人)が関わるため、自筆証書遺言によくある

  • ① 遺言執行者の指定がない
  • ② 内容が特定できない

などの不備がありません。また、公証人が遺言作成能力を判断しているという信頼性と、利害関係のない証人2人が作成に必須ということも公正証書遺言が信頼される理由です。

まとめ

今回は、相続人の戸籍が繋がらない場合に公正証書遺言を作成した方がよいことについて解説しましたが、もちろん被相続人の戸籍が繋がらない場合にも公正証書遺言を作成した方がよいです。自分のケースはどのようにすべきだろうかと疑問に思った場合には、遺言を作る必要があるかないかについて、一度相続や遺言の専門家に相談するとよいでしょう

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このページの著者

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大学卒業後、サービス業の仕事を長年経験。その後、29歳で初めて本格的に法律を学びはじめる。行政書士に合格し、東京にある、相続遺言専門の行政書士事務所で勤務。もっと、ゆっくりと時間をかけてお客様に寄り添いたい気持ちが強くなり、第二の故郷である札幌にて独立し、たまき行政書士事務所を開業。

保有資格
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