北海道での配偶者居住権適用事例について

相続・遺言コラム

配偶者居住権とは

配偶者居住権とは、令和2年4月1日に新設された相続の制度で、かみ砕いて説明すると、残された配偶者が死亡するまで安心して慣れ親しんだ自宅に居住できる権利です。

建物の登記簿の権利部(乙区)というところに、配偶者居住権者が記載されます。

建物の登記簿の権利部(甲区)には、例えば、長男などの親族が所有権者として記載されます。

モデル事例

被相続人(夫、相続太郎)には、妻(相続花子)と長男(相続一郎)、長女(相続正子)がいる。
夫と妻は札幌市北区で同居、長男は札幌市東区在住で自身の自宅があり、長女は函館市在住で自身の夫名義の自宅がある。
長男が、札幌市同士で家が近い親の面倒を全般的に見ていた。

上記のモデル事例で、例えば、法定相続人全員の遺産分割協議により被相続人の長男が自宅土地建物の所有者となり、被相続人の妻が配偶者居住権を設定することになった場合には、下記のように不動産登記簿に記載されます。

【建物登記簿】
表題部 所在 札幌市北区〇〇
    家屋番号 〇番〇           1階 50㎡
    居宅 木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建   2階 70㎡

権利部(甲区)中略

所有権移転 受付年月日・受付番号 原因 〇年〇月〇日相続
所有者 札幌市東区〇〇
相続 一郎  

権利部(乙区)

配偶者居住権設定 受付年月日・受付番号 原因   令和〇年〇月〇日遺産分割
存続期間 配偶者居住権者の死亡時まで
配偶者居住権者 住所 札幌市北区〇〇
氏名 相続 花子  

【建物登記簿】
表題部
所在 札幌市北区〇〇
家屋番号 〇番〇 1階 50㎡
居宅 木造亜鉛メッキ鋼板葺2階建 2階 70㎡

権利部(甲区)中略

所有権移転 受付年月日・受付番号 原因 〇年〇月〇日相続
所有者 札幌市東区〇〇
相続 一郎

権利部(乙区)

配偶者居住権設定 受付年月日・受付番号 原因 令和〇年〇月〇日遺産分割
存続期間 配偶者居住権者の死亡時まで
配偶者居住権者 住所 札幌市北区〇〇
氏名 相続 花子

配偶者居住権について想定されている状況

配偶者居住権の制度は、亡くなった方の配偶者が慣れ親しんだ自宅に住み続けられるようにするための制度です。

夫婦の一方が亡くなった場合に、残された配偶者が慣れ親しんだ自宅を相続したいとき、東京23区や横浜市など土地が高額な地域では、法定相続割合を求める子らに高額な代償金を支払う必要があり、場合によっては、家を売らなければいけない状況となることがありますそのような事態を避けて配偶者を保護するために、配偶者居住権の制度がつくられました

建物だけを配偶者の所有として、土地は子が相続するということもできますが、その場合、子が土地のみを売ってしまう可能性があります。

このように、建物の所有者がいながら土地だけを売るようなことが、不動産取引の実務では可能です

建物に配偶者居住権を設定すると、少なくとも配偶者が死亡するまでは、建物や土地が他人に売られることなく、安心して居住できるようになります

ただし、配偶者居住権は、北海道のような土地の金額が低い地域での相続を想定しているものではなく、東京都や横浜市など土地の金額が高い地域での相続を想定されたものであることは間違いありません。

北海道での配偶者居住権の設定ケース

モデル事例

被相続人(夫、相続太郎)には、妻(相続花子)と長男(相続一郎)、長女(相続正子)がいる。
夫と妻は札幌市北区で同居、長男は札幌市東区在住で自身の自宅があり、長女は函館市在住で自身の夫名義の自宅がある。

個別事情
※ 長男が、札幌市同士で家が近い親の面倒を全般的に見ていた。
※ 被相続人の妻は、長男のことを信頼して身の回りの世話を任せている。自分には預貯金などの財産があるので、不動産の権利関係は長男に移転しておきたい。ただし、住み慣れた自宅は終の住処としたい。
※ 長女は、長男を信頼して親のことはすべて任せており、母親(被相続人の妻)には自宅で最期まで安心して過ごしてほしい。

先ほども挙げたモデル事例で考えてみると、被相続人の妻に配偶者居住権を設定して、長男に被相続人の自宅建物の所有権を移転するという方法があります。

配偶者居住権は、本来、東京23区など土地の価格が高い地域で被相続人(夫)が所有していた自宅を相続する際に、子が自分の法定相続分をきっちり主張する場合でも、被相続人の妻の居住権を確保できるようにすることを想定してつくられています

しかし、北海道のように土地の値段が高くない地域でも、今回のモデル事例および個別事情のあるご家庭で配偶者居住権を設定することができます

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遺産分割協議は、相続の際の権利の移転の他に、いわゆる二次相続(親の片方が死亡した後もう片方が死亡した時の相続)のこと、親族の関係性、相続税のことなど、絡み合った事情を総合して決める必要があるため、なかなか難しい場合があります。

そのようなときは、多くの相続事例を経験している行政書士などの専門家に一度ご相談してみるとよいでしょう

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