相続人の一人が他の相続人に居所を知られないで相続手続きを進めたいとの希望がある場合にそのようなことも出来るのかについて
相続・遺言コラム
たまき行政書士事務所では、お客様の相続のご相談の他に、相続手続きをあまり経験していない行政書士事務所の先生方から相続全般のご相談をお受けすることがあります。
先日、行政書士の先生より以下のようなご相談がありました。
遺産分割協議は電話での話し合いにより決着がついています。
しかし、相続人の中で、住所を知られたくないという希望の方が一人いるのですが、他の相続人に住所を知られることなく遺産分割協議書を作成したり、相続手続きを行うことは可能でしょうか?
というご相談でした。
回答としては、遺産分割協議書への署名押印の際に住所と名前を記載する必要があり、かつ、銀行等金融機関に提出する必要のある印鑑登録証明書にも、住所が記載されているので、相続人の住所を知られたくないという希望を叶えることは原則としてできないと伝えました。
ただし、住所を知られたくない相続人以外の他の相続人の方々が同意してもらえれば可能となる例外的なやり方はあると回答しました。
どのように住所を知られずに遺産分割協議書の作成と相続手続きを行うかについて
- 1. まず、遺産分割協議書ではなく、遺産分割証明書というスタイルの書面とする
- 2. 行政書士など相続手続き代理人の事務所を経由して遺産分割証明書を集める
- 3. 相続手続きも代理人が行う
- 4. 最後に、遺産分割証明書は、手続きが終わったら各相続人に返却する
このように行えば、住所を他の相続人に知られたくない相続人が自分の住所を他の相続人に知られることなく、相続手続きを行うことができます。
1. まず、遺産分割協議書ではなく、遺産分割証明書というスタイルの書面とする
遺産分割協議書は、
- ⅰ. 被相続人を特定するための情報
- ⅱ. 遺産分割協議内容
を記載した書面で、最後に、相続人全員が連名で署名押印するものです。
これに対し、遺産分割証明書は、ほぼ遺産分割協議書と同じ内容が記載したものですが、相続人全員が連名で署名押印するのではなく、各相続人が一人ずつ署名押印して、相続人の人数分の遺産分割証明書を集めて初めて遺産分割協議の内容を証明するものとなります。
2. 行政書士など相続手続き代理人の事務所を経由して遺産分割証明書を集める
遺産分割証明書の返送先を行政書士事務所とすることで、行政書士のみが、住所を知られたくない相続人の住所を知ることとなります。
3. 相続手続きも代理人が行う
全員分の遺産分割証明書と印鑑登録証明書を用いて、相続人の代理人として行政書士が銀行等金融機関に相続手続きを行います。
4. 最後に、遺産分割証明書は、手続きが終わったら各相続人に返却する
遺産分割内容は、相続人それぞれが自分の署名押印をした遺産分割証明書に記載されています。そのため、遺産分割証明書を各相続人に返却することで、遺産分割協議の内容が記載された書面が保管できるため、手続きで利用した後遺産分割証明書を各相続人へ返却してしまっても問題ありません。
以上の手続きを慎重に行えば、事情によりどうしても自分の住所を知られたくない相続人の方が住所を他の相続人に知られないように遺産分割をすることが可能となります。
難しい事情のある相続事案では、士業の方でもかなりの実務経験が必要です
今回のように、イレギュラーな事情がある相続案件ですと、かなり相続手続きの経験を積んでいる方でないと、相続人様への説明が難しく、かえって相続人様同士のトラブルの元となることがあります。
行政書士の方など、相続業務の経験が浅い方が相続手続きの代理を行う場合には、原則と例外を十分理解してから相続人様の相続手続きのサポートをする必要があるといえるでしょう。
行政書士の方でサポートが必要な方は一度ご相談ください
業務内容の看板やホームページに、“相続・遺言業務”と記載しているが、一度も経験したことが無いという方も多くいると思います。
その場合、相続と遺言業務は、浅い知識と経験で行ってしまうと、行政書士自体が紛争の原因を作ってしまうこともあります。
相続や遺言の経験はないけれども、お客様から問い合わせが来てどう対応したらよいかわからないという行政書士の先生は、一度当事務所にご相談いただくと相続業務をサポートできるかもしれません。
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