【遺言を作成した方が良い方】
第4話 養子に出している子がいる方

相続・遺言コラム

遺言を作成した方がよいかどうかの判断について

遺言を作成するべきかどうかを判断するために絶対に必要なことは、もし、遺言を作成していなかったら、残された相続人の方はどのような手続きをとっていくことになるのか検討することです

遺言には、自分の財産の行方を指定するという、遺言者(遺言を残そうとする方)の意思の尊重だけでなく、遺言を残していなかった場合に、推定相続人(遺言者が死亡したときに法定相続人となる方)がどのような手続きを行うことになるのか理解することも必要です。

ちなみに、細かな呼び方の違いですが、死亡した方の相続人を法定相続人と呼び、ご存命の方の相続人は、未確定なので推定相続人と呼びます。このホームページ内では、わかりやすくするためにどちらも相続人と表現していることがあります。

養子に出している子がいる方は、遺言の検討が必須です

ご自身の実子(じっし)ではあるが、その子を小さな頃に養子に出している方は、状況により遺言、特に公正証書遺言の作成を検討した方が良いでしょう

具体的な相談内容

北海道の84歳男性。財産構成は千歳市の自宅土地建物(固定資産評価額300万円)と、預貯金500万円。

その男性には、妻と長男、長女の他に二男がいるが、二男は1歳の頃、子供がいない親戚夫婦の養子となっている。
養子に渡した二男は、もうよその子になったと覚悟していたので、1歳の時に養子に出して以来一度も会ったことがない
男性は、自分が死亡した時に二男も相続人になるのか心配していると相談あり。

妻、長男、長女とは円満な関係で、長男夫婦とは同居している。

上記の男性が将来、遺言を作成することなく死亡した場合に、千歳市の自宅の不動産の名義を長男に移し、預貯金を妻や長男、長女で分けようと考えている場合でも、妻、長男、長女、養子に出している二男の4人で遺産分割協議をすることになります。

意外に思う方も多いと思いますが、(普通養子縁組で)養子に出している子でも、子であることには変わりなく、長男、長女と同様の地位の子として遺産分割協議に参加することになります

もっとも、現在は、特別養子縁組といって、養子に出したその時点から法律上、通常の子とは区別されるという制度もありますが、当事務所の経験上、養子縁組を結んでいる方の全員が普通養子縁組でした。

そのため、今回のような80代の男性で養子に出している子がいるという場合、その子はほぼ相続権がある(通常の子と同様の権利を持つ)養子であると考えて良いでしょう。

公正証書遺言を作成しておけば、男性が死亡したときに、遺産分割協議を経ることなく、千歳市の自宅土地建物や、預貯金のすべてを妻、長男、長女にのみ移転させることができます

※ 遺留分という権利は二男に残るという問題はあります。

(嫡出子の身分の取得)
第八百九条 養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得する。

(特別養子縁組の成立)
第八百十七条の二 第1項 家庭裁判所は、次条から第八百十七条の七までに定める要件があるときは、養親となる者の請求により、実方の血族との親族関係が終了する縁組(以下この款において「特別養子縁組」という。)を成立させることができる。

民法

養子の形態が普通養子縁組か特別養子縁組かを確認する方法

ご相談をされる方のほとんどが、自分が養子に出した子の養子縁組の形態が、普通養子縁組だったか特別養子縁組だったのかよく覚えていないとお答えになります。

養子に出した子の養子縁組の形態が、普通養子縁組か特別養子縁組かを確認する方法は、主に2つあります。

方法1(簡易的な確認方法)

特別養子縁組の制度は昭和62年(1987年)の民法改正で創設されたので、養子に出した時期が確実に昭和61年より前であれば、普通養子縁組であると考えて良いでしょう

方法2(正確な確認方法)

遺言を残そうとしているご自身の戸籍を現在から出生まで遡ります

例えば、札幌市北区に現在の戸籍があれば、その戸籍から1つずつ前に遡り、できれば出生まで遡ります。そうすると、ご自身と一緒に養子に出した子の名前が載っている戸籍が出てきます。

その養子に出した子の欄に養子縁組に関する記録が記載されています

特別養子縁組であれば、「民法817条の2」という条文や、「特別養子となる縁組」という文言が記載されているので、どのような養子縁組の形態で養子に出したかがわかります。

特別養子縁組であれば推定相続人となり、普通養子縁組であれば法定相続人となる

先ほどの具体的な相談内容を再度載せます。

具体的な相談内容

北海道の84歳男性。財産構成は千歳市の自宅土地建物(固定資産評価額300万円)と、預貯金500万円。

その男性には、妻と長男、長女の他に二男がいるが、二男は1歳の頃、子供がいない親戚夫婦の養子となっている。
養子に渡した二男は、もうよその子になったと覚悟していたので、1歳の時に養子に出して以来一度も会ったことがない
男性は、自分が死亡した時に二男も相続人になるのか心配していると相談あり。

妻、長男、長女とは円満な関係で、長男夫婦とは同居している。

特別養子縁組だった場合

この相談内容に出てくる男性の二男が、戸籍上、特別養子縁組で養子に出されたことがはっきりと分かったのであれば、必ずしも、公正証書遺言を作成する必要はありません

なぜなら、二男は特別養子縁組によって、すでに他の夫婦の子としての地位しかないからです。二男を特別養子縁組で養子に出しているのであれば、男性が死亡した時に二男が法定相続人となることはありません

普通養子縁組だった場合

他方、男性の二男が戸籍上、普通養子縁組で養子に出されたことがわかったならば、妻、長男、長女のために、公正証書遺言等の遺言を書いた方が良いでしょう

前述した通り、二男を普通養子縁組で養子に出していた場合、男性が死亡したあと、二男も法定相続人となるからです

まとめ

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ご自身の子供を養子に出している場合、非常に高い確率で普通養子縁組で養子に出しているので、その場合、遺言、特に公正証書遺言の作成を検討した方がよいでしょう

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