【その終活間違っているかも!?】
第7話 子供のために銀行でNISA口座の開設と投資をしようとしている方
相続・遺言コラム
NISAとは
最近、CMや銀行の窓口でNISA(少額投資非課税制度)の広告を見かけると思います。NISAは、売却したときの売却益が
- ① 一定枠で売却時の売却益に対する税金が免除となり
- ② 投資信託を選択した場合、投資のプロに運用を委ねるからかなり高い確率で資産が増え
- ③ その増えた資産を老後の備えとしていきましょう
というものだという考えが浸透してきたころだと思います。
自分の為に、一定のリスクを理解し、出し入れが少し不自由になる金融商品(NISA口座での投資信託)を購入することはよいことであると思います。
金融庁特設ウェブサイト
子供のためにNISAを始めるのはあまり子供のためにはならないかも
他方、子供に少しでも多く残そうという意図で70歳代、80歳代の方が銀行担当者から勧められるがまま、よく考えずにNISAを始めるのは、あまりよい終活とは言えない場合があります。
なぜなら将来の相続手続きが複雑になるからです。
70歳代、80歳代については、将来の相続発生に備え、自由に使えるお金を残し、いざ相続が発生したときには、子供たちが分けやすい、相続手続きが複雑にならない方が子供にとってはよいことだと思います。
不動産やNISAを利用した金融商品(投資信託)にしてしまうと相続手続きは複雑になり、分けにくいため、子供たちが苦労する原因となります。
そのため、子供たちのために少しでも資産を増やそうという観点からはあまり良い終活とはいえないかもしれません。
NISA口座を保有したまま相続が発生したときの手続きの流れ
NISAは、一人につき1金融機関にしか口座を開設することができません。例えば、北海道内の有名な銀行の一つである北洋銀行でNISA口座を開設した場合、それ以外の銀行でNISA口座を保有している、あるいは、証券会社でNISAを開設しているということはありません。
NISAはある意味、銀行口座内に証券口座(預金口座と証券口座)があるようなものですので、証券会社の証券の相続のように、被相続人と同じ銀行の証券口座を作成し、NISA口座に入っていた投資信託等を証券口座に入れる(移管する)という流れとなります。
そのため、北洋証券でNISA口座を開設し、そこで被相続人が投資信託を購入していた場合、相続人も単に北洋銀行の通帳を持っているということだけでは足りず、北洋銀行の証券口座を作ることとなります。
例えば、楽天証券で被相続人がNISA口座を開設していたのであれば、相続人は、楽天証券の口座を開設する必要があります。
そのため、投資信託や証券の相続(移管)は、NISAに限らず難しい手続きの一つとなります。
証券の相続は、難しいため、結果的に相続手続きの専門家に依頼することになり、その報酬にお金がかかりますので、何年もかけて3万円の利益が出ていたとしても10万円以上専門家への報酬がかかることとなります。
そのため、70歳代、80歳代の方は、相続手続きが難しくなるNISAの口座開設と投資信託等の購入は、子供のためだけを考えたらよい終活とはいえないでしょう。
遺産分割協議も困難となることがある
NISA口座で投資信託を購入していた場合、相続人は、投資信託という金融商品のまま相続する形となります。相続する前に、証券口座(正確には、投資信託のお取引口座と表現することもあります。)を相続人は開設する必要があります(NISA口座の開設は不要)。
仮に、相続人が2人いて二人とも投資信託という不安定な金融資産より現金が欲しいとなった場合、遺産分割協議が困難となります。
このとき、被相続人の保有資産が、投資信託ではなく、預貯金であった場合自由な調整ができます。
具体例
この場合、長男と二男がわかりやすい預貯金1000万円を希望した場合揉める可能性があります。
なぜそんなに銀行は忙しい中NISAを勧めるのか
銀行窓口が忙しい中NISAを積極的にお客様へお勧めする理由は、売買などの際の手数料収入が確実に見込め、同一銀行内で資金の囲い込みができるというメリットがあるからであると思います。
また、先ほど解説した通り、NISA口座は一人につき、1金融機関にしか持つことができません。そのため、
- ① 生前にNISAを開設したお客様と長いお付き合いができ、なおかつ、死亡後も同じ銀行にしかNISA内の投資信託等を移管することしかできないため
- ② 他の銀行への顧客の流失も防ぐことができます
まとめ
銀行でNISAを開設し資産運用をするというのは楽しみも増えますし良いと思いますが、いざ相続が発生した際には、相続人はほぼ確実に預貯金だけの相続手続きよりも大変になりますので、子供のためにNISAを開設するというのは慎重に考えた方がよいでしょう。
今回は、NISAについて相続の専門家の観点から解説しましたが、相続に関するお悩みごとは、ご家庭ごとに異なるため、総合的なご相談は個別にご相談いただくとよいでしょう。札幌市北区に事務所があるたまき行政書士事務所では、行政書士と宅地建物取引士の観点から様々な終活相談を、年間を通して多数お受けしております。
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