最近の終活ブームについて。終活あっせん会社にご注意を!
相続・遺言コラム終活とは
70歳くらいを過ぎたころから、認知症などが進み、今後、突然の病気や、寿命で死亡した場合に家族や親せきに迷惑がかからないようにと終活をする方が増えてきています。
テレビのワイドショーなどで終活や相続の特集をしたりすることによって、エンディングノートや遺言の作成、身の回りの整理などを考える方が増えてきています。
そもそも終活とは、最近出てきた言葉で、言葉の定義は決まっていないのですが、一般的に、人生の終わりに向けて準備する活動のことを言います。
具体的には、
- 身の回りの物の整理をする(断捨離する)
- 銀行口座を1本にまとめる
- 自分の情報(銀行口座情報、クレジットカード情報、保険の情報)を集約する
- 墓を建てる、永代供養の契約を事前にしておく
- 相続を円滑にするため、遺言を書いたりする
などのことをいいます。
終活あっせん会社について
ここ5年位の間に終活ブームに乗っかり、急速に株式会社の主宰する終活あっせんサービスのようなものが増えました。
終活に関わる一切をフリーダイヤルなどでご相談いただくと、専門家、専門業者を無料で紹介するというものです。
当事務所にも日々終活あっせん会社の方から業務提携の依頼が来ますが、法的に問題がある(脱法的である)、あるいは、お客様に不利益なことが多い制度のため、当事務所では、基本的にすべてお断りしております。
終活あっせん会社(株式会社等)は、フリーダイヤルや、インターネットポータルサイトにて、無料で専門家(行政書士、税理士)あるいは、墓石屋さん、遺品整理業者さんを紹介するというもので、料金体系は、主宰する終活あっせん会社が主導して決めていることが多いです。
終活あっせん業者さんの収入は、士業からバックマージンとして入る紹介手数料収入ですので、無料で紹介するといっても、専門家、専門業者から必ず迂回してきた紹介手数料をもらっています。
相続に関連した専門家、専門業者の紹介は、10年以上前から大手葬儀会社さんでは行っていたサービスですが、最近では、上場会社やコンサルタント会社が終活あっせんのサービスを行っております。
終活あっせん会社の収益の仕組み
相続を専門とする行政書士の立場からすると、このような終活あっせんサービス、特に、士業(行政書士、税理士)を利用した相続専門家紹介サービスは、非常に問題があるように感じております。
終活あっせん会社の方の収入は、先ほども説明した紹介手数料(マージン)ですので、結局は、士業の請求する料金として転嫁されてしまう(高い報酬となる)ため、お客様に不利益があるといえるため問題があります。
しかも、最近では、紹介手数料を、報酬の40%から50%という常識から大きく外れた高額な設定をしている終活あっせん会社があります。
私たち行政書士のようないわゆる士業は、本来、お客様のためだけに仕事をし、行う専門業務の責任と引き換えに、お客様から報酬を得ております。
そのため、株主や紹介者のために仕事をすることは、倫理上当然禁止されております。
行政書士、弁護士などのいわゆる士業全般について、法人化するときは、株式会社にすることはできないこともこの理由からです。株式会社は、株主の利益ために仕事をすることとなるからです。
お客様(ご依頼者)のためだけに、仕事をするという趣旨から、行政書士や税理士、司法書士、弁護士は、無限責任の個人事業主あるいは、無限責任社員のみから構成される合名会社となる以外できない仕組みとなっております。
紹介手数料禁止規定
弁護士と司法書士関係法令については、紹介手数料など紹介の対価を支払うことを禁止する規定(弁護士職務基本規定13条1項、2項、司法書士倫理規定73条1項)があります。
そのため、終活あっせん業者さんの提携先は、弁護士や司法書士になっておらず、ほとんどが、行政書士と税理士であることが多いです。
行政書士法と税理士法には、明確な紹介手数料を禁止する規定がないため、紹介手数料を請求することは、明確な違法とはいえません(グレーゾーンといわれています)。
このような、行政書士や税理士から多額の紹介手数料を請求するシステムは、法の抜け穴を利用したビジネスといえます。
私見としては、行政書士法と税理士法にも紹介手数料を禁止する条文を規定するべきだと思います。
(不当誘致等)
司法書士倫理
第13条
1項 司法書士は、不当な方法によって事件の依頼を誘致し、又は事件を誘発しては ならない。
2項 司法書士は、依頼者の紹介を受けたことについて、その対価を支払ってはならない。
3項 司法書士は、依頼者の紹介をしたことについて、その対価を受け取ってはならない。
(非司法書士との提携禁止等)
第14条
1項 司法書士は、司法書士法その他の法令の規定に違反して業務を行う者と提携して業務を行ってはならず、またこれらの者から事件のあっせんを受けてはならない。
2項 司法書士は、第三者に自己の名で司法書士業務を行わせてはならない。
まとめ
終活あっせん会社を経由して専門家に相談する場合には、一般のお客様も上記の点を十分注意して利用する必要があるでしょう。
相続や遺言などの専門的なものは、直接、相続や遺言の専門の士業(行政書士、司法書士、税理士、弁護士等)に相談するのが一番であると私は考えております。
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