【遺言を作成した方が良い方】第17話
エンディングノートを作成している方
相続・遺言コラム
エンディングノートでは想いは実現しないことも
エンディングノート(終活ノートと呼ばれることもあります)とは、正確な定義は特にありませんが、終活の時に作成する本人の希望や想い、伝えておきたい記録を書き留めたものです。
相続の業務をしていると様々なエンディングノートを見る機会がありますが、簡単な手書きメモ1枚から、パソコンで何カ月も考えて作った冊子になったものまでありました。
エンディングノートのフォーマットなどもインターネット上に数多くあり、本人の情報、銀行口座の情報、家族へのメッセージ、葬式の形態の希望、埋葬や供養の方法、財産の分け方などを書く項目があります。
近年、終活やエンディングノートブームでエンディングノート作成講座などを行っているカルチャーセンターもあるくらいです。
ただし、エンディングノートは、法律上(民法上)認められている遺言と異なりますので、そのまま銀行の手続きで利用することはできません。
エンディングノートは、遺言とは全く異なるものと理解した上で作成するのがよいでしょう。
エンディングノートを利用した財産分け
エンディングノートは、終活をしていた本人の希望を記したものですので、相続人がその趣旨を理解し、エンディングノートに書いてある通りに遺産分割協議をすることは何ら問題ありません。
実際に、たまき行政書士事務所では、エンディングノートの通りに遺産分割協議をする事例も多く見てきております。
ただし、1人でもエンディングノートに書いてある通りにはしたくないとの希望がある場合には、エンディングノートの記載通りに遺産分割協議をすることはできなくなります。
この場合、エンディングノートは分け方の参考程度に扱われ、あらためて相続人全員で遺産分割をどのようにするか話し合いをする必要があります。
遺言が無い場合においては、エンディングノートがあったとしても、基本的に被相続人が死亡した瞬間に、遺産は、法律上は相続人の共有財産となります。そのため、相続人全員の合意による遺産分割協議が成立するまでは、遺産のゆくえは不確定なものとなります。
遺言を作成していた場合
遺言には主に自筆証書遺言と公正証書遺言がありますが、ここでは、公正証書遺言を作成していた場合の相続手続きの流れについて解説します。
公正証書遺言には、基本的に遺言執行者の記載があります。遺言執行者は、死亡時点での法定相続人に通知は必要ですが、通知を行ったあとは、公正証書遺言を利用して銀行口座の解約、不動産の相続登記などを相続人の同意なく行うことができます。
遺言を作成していた場合には、基本的に遺言の内容の通りに遺言執行者によって実現されます。
エンディングノートと遺言の違いは、エンディングノートは法的拘束力がなく、遺言は法的拘束力があるということです。
したがって、終活をしている方が自分の死後、想いを実現させたい場合には、信頼できる遺言執行者を遺言の中で指定した上で、明確な遺産の分け方を遺言に残しておくことでしっかりと遺産を大切な方へお渡しすることができます。
ちなみに、エンディングノートでは、直接の寄付はできないですが、遺言によってであれば、終活をしている方自身から直接の寄付(遺贈)ができます。
エンディングノートと併用するという方法もあり
遺言は、法律上定められた形式がありますが、エンディングノートには形式が特にありません。自分の歴史を書くこともできますし、作文のように書くことによって、なぜそのように考えているのかということを、残された親族に伝えることもできます。
財産の帰属については、遺言にてしっかりと書き、それ以外のことはエンディングノートで記録や気持ちを残すというのもよいと思います。
遺言には、付言という欄もある
遺言には、形式があると書きましたが、本文の後に、【付言】(‘‘ふげん’’と読みます。)として、自由に気持ちを書くこともできます。当事務所では、付言についてご希望があれば、公正証書遺言の原案に入れるサポートをしております。
気持ちを聞き取り、それを行政書士の方で文章化することもできます。付言があることによって、形式的な遺言が気持ちのこもった遺言となることがあります。
付言については、遺言執行の段階(相続発生後)に、相続人の方々が見ることとなりますが、涙を流す方もいるくらい気持ちが伝わることがありますので、エンディングノートを書かない場合も付言は書くとよいでしょう。
意外と公正証書遺言のサポートをできる専門家は少ない
公正証書遺言は、最終的には、公証人のいる公証役場(札幌市内では、札幌大通公証役場と札幌中公証役場の2か所があります。)にて作成するのですが、公証役場に提出する資料の収集、原案の作成、公証役場との打ち合わせは、行政書士や弁護士、司法書士などが行うことが実務では多いです。
もちろん、公証役場に直接お客様が出向き公証人と打ち合わせをすることも可能ですが、遺言を作成しようとする方はご高齢の方も多いため、何度も公証役場に出向くことや資料収集を自分で行うのが難しい場合が多くあります。
また、公正証書遺言に慣れていない方(相続を扱っている士業者であっても)に依頼すると、完成までの時間が長期化することがありますので、注意が必要です。
お客様にとっては意外かもしれませんが、相続相談・遺言相談の看板がある事務所でも、公正証書遺言のサポートはしたことが無いという方もとても多いですので、依頼する場合には、その専門家が本当に
- 公正証書遺言のサポートを年に何件も行っているのか
- 業務に精通しているのか
をお客様自身で吟味して依頼するのが良いでしょう。
札幌市内や北海道内の方であれば、たまき行政書士事務所まで是非ご相談いただければと思います。
その他の遺言を作成した方が良い方
- 1. 財産の構成で不動産の割合が大きい方
- 2. いわゆる“おひとりさま”(自身の子供なし、両親死亡、配偶者が先に死亡(または独身)の場合
- 3. 主たる財産が自宅のみで、かつ自身に子供がいない方
- 4. 養子に出している子がいる方
- 5. 現在2回目の結婚をしていて、前妻との間に子供がいる男性
- 6. 樺太や外国で生まれた方、外国人と結婚した方
- 7. 相続人の一人が「父の死亡後はきっちり均等に分けたい」と言っている場合
- 8. 帰化した日本人の方
- 9. 二世帯住宅の所有者の方
- 10. 推定相続人の中に認知症や障害のある方がいる場合
- 11. 実家に何年も帰ってこない子供がいる親御様
- 12. いわゆる“相続税案件”になることが予想される方
- 13. 夫婦でペアローンを組んで住宅を共有している夫婦(記事では、札幌市内の夫婦を想定)
- 14. 財産の構成で株式や投資信託の割合が大きい方
- 15. 養子縁組をしている方〔養親になった方向け〕
- 16. 養子縁組をしている方〔養子になった方向け〕
- 17. エンディングノートを作成している方
- 18. 非上場会社のオーナー社長
- 19. 一人っ子、かつ、独身で両親が死亡している方
- 20. 複数の子供がいるが一人の子供に過去に不動産など大きな贈与をしている方
- 21. 大地主、不動産投資家の方
- 22. 夫が妻の両親の婿養子に入ったご夫婦で夫婦に子供がいない方(2人とも遺言が必要)
- 23. 今は独り身だが、かつて結婚をしていて前妻との間の子がいる男性
- 24. 息子夫婦の自宅の土地として自身の土地を提供している父
- 25. 苦労をかけた元妻に財産を残したい男性
- 26. 前妻と子供が夫名義の自宅に住んでいる場合の夫
- 27. 自分の子供(死亡)が外国人と結婚していた親の方
- 28. 自分の土地の上に娘夫婦の自宅を建てさせたお父様
- 29. 夫婦共働きで夫婦の間の子供がいない50代以上のご夫婦
- 30. 推定相続人の中に戸籍が途切れている方がいるケース
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