コロナ前とコロナ後の銀行窓口の相続業務の変化について

相続・遺言コラム

コロナで世界が変化

今回のコラムでは、コロナ前後で変わった銀行の相続業務対応について解説したいと思います。

銀行業務に限らず、コロナの前後で各業界の業務の進め方が大きく変化しました。

  • 遠方の場合、ZOOMなどのリモート面会の推進
  • 満員電車や地下鉄に乗る機会が少し減った
  • 慣習行事に過ぎない会社の宴会や、飲みニケーションの廃止
  • 衛生面で改善した

といういい面もありますが、高齢者の方は、人と話す機会が減り、なんでも自分で操作しなければならないため、少し不便さを感じる世の中になったかもしれません。

銀行業務は他の業種に比べ、特に変化が顕著といえ、

  • 業務の効率化(合理化)
  • スマホアプリの開発などデジタル化の加速
  • 大幅な人員削減
  • 働き方改革の一環でもある行員の昼休み休憩のための昼時間閉店(12時~13時)
  • ATMの数が半減
  • 1階ではなくオフィスビルの中高層階に移転(三菱UFJ銀行札幌支店、商工中金札幌支店など)
  • 予約制の推進

など銀行は人々が気軽に入り相談するという場所ではなくなりました

また、単に振込み作業(窓口振込、ATM振込、ネット振込)などではそれほどコロナ前後で変わらないのですが、銀行の相続手続き業務の流れは大幅に変わったことが実務をしているとすごく実感できます。

たまき行政書士事務所は相続専門の事務所なので銀行の変化に柔軟に対応をしていますが、窓口で気軽に聞くことが難しくなったため、一般のお客様が相続手続きをするのはコロナ前の時代よりもさらに難しくなったのではないでしょうか

コロナ前の相続手続き

コロナ前の時代(令和2年以前)では、一部の都市銀行を除き、基本的に銀行の支店にて相続の受付をしておりました。流れは以下の通りとなります。

最初の段階で銀行窓口に行き、死亡の連絡と手続の相談を窓口の行員とする。

相続の案内の書類を受け取り、支店の相続担当者が初回のお客様対応(戸籍や印鑑証明書の説明、相続人は誰になるかなどの案内)をする。

お客様が自身で必要書類を揃えて銀行窓口に再来店

不備があれば銀行窓口で説明を受けて再々来店

口座開設支店で手続きすれば、相続手続きが来店した支店窓口で1時間以内に完了する

というのが一般的な相続手続きの流れでした。

しかし、コロナ禍が4年以上続き、人々が外出しなくなった結果、銀行をはじめ多くの業種で業績が下がり、銀行も大幅な人員削減、リモート業務ができるようデジタル化を急速に進めた結果、銀行の売上にはならない部門である相続手続き部門は、本店の相続センターという部門を作り、支店対応をほとんどしなくなりました

相続手続きの説明ができる優秀なベテラン行員の方は銀行窓口ではなく、相続センターという本店内の内部部門に異動し、電話や郵送で対応するようになりました。

コロナ後の相続手続き

最初の段階で、被相続人の口座開設支店や同一銀行のその他支店に行くと相続の受付のみ行い、「詳しい説明は相続センターから数日後お電話が来ますのでその時に聞いてください。」といわれます

または、支店の窓口で電話器を渡され、本店の相続センターに電話を取り次ぎます。三菱UFJ銀行、りそな銀行などでは、支店内にある相続専用のTV電話ブースに案内され、東京の相続センターの行員の方とTV電話をします。

窓口が空いていても電話やブースで相続センターに案内されるため、高齢者のお客様はお怒りになってしまうことも多々あります。

さらに、都市銀行の一部では、支店窓口にわざわざ足を運んでも相続センターへの取次自体行われず、相続の案内の紙を渡され、インターネットでの入力を促されたり、ご自身の電話で家に帰ってから相続の連絡を入れてくださいと言われたりします。その都市銀行の支店では、「なんでこんなに人数がいるのに一切対応してくれないのだ!あなたが対応してくれればよい話ではないか!」とご高齢のお客様が激高しているのも頻繁に見かけます。

相続の案内の電話が相続センターからあり、その後、相続手続きの説明と相続手続きの案内書類がご自宅に郵送されます。書類の用意などでわからないことがあれば、相続センターの専用のフリーダイヤルに電話するよう言われます支店では、相続に詳しい方がいないため、支店に相談しても対応してもらえず、やはり相続センターのフリーダイヤルに掛けるしかない状況になります

必要書類が揃ったら相続センターに郵送

不備があれば相続センターから電話が来て、説明を受けて電話で長時間対応

書類の追加や不備の修正をして、相続センターに再郵送して、その後、1週間後位に郵送で相続手続きの完了のお知らせが来ます。

お客様にとっては相続手続きがよりレベルの高い作業に

相続手続きは、一生に一度か二度位しか経験しない手続きですし、大切な親族が亡くなった後、気持ちが繊細な時期に行う手続きなので、本来は、銀行窓口で対面にて温度感がわかる状態で進めたいものです。しかし、銀行も人員削減や時代の変化でやむを得ない事情もあり、今後も相続センターでの、郵送やオンラインでの対応が中心になると思います。お客様の中には、相続手続きが難しすぎてご主人の預金の解約を断念したという方もいるかもしれません。

NISAなどの投資関係の宣伝に力を入れるのもよいですが、本来の業務である預金の相続手続き部門もご高齢者のお客様にも優しい対応ができるように工夫をすべきかと思います。

お客様の中で難しすぎて銀行の相続手続きができないという方がいらっしゃいましたら、一度相続専門のたまき行政書士事務所にご相談ください

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