人口数千人~5万人くらいの北海道の地方都市の空き家の処理について解説します

相続・遺言コラム

お客様からの相談

行政書士 田巻 裕康

とあるお客様から「実家が数千人規模の北海道の地方都市で、木造であるが、自分は札幌に住んでいるし、もう実家に帰ることはないので、実家は手放したいと思っています。ただ、周りは空き家だらけですし、解体し更地として売却するしかないですか。ただ、解体し、更地で売れたとしても解体費の方が上回るので、自分以外の相続人も相続することを望んでおりません。」というご相談をお受けすることが多々あります。

お客様が思いつく処理3つ

たまき行政書士事務所にご相談いただく前に、インターネットなどで調べて大体この3つをお客様自身が事前に考えられて相談にきます。

しかし、北海道の地方都市で人口数千人~5万人くらいの規模の市町村では、上記の3つともいずれ難しいと考えられます

1. 市町村に無償で寄贈したい

市町村の代表電話に電話していただき住所など聞き取りしてくれますが、電話の段階で当自治体では、寄付を受け付けていないと回答されると思います

市町村としては、空き家がある時点で管理コストがかかりますので、即座に活用方法が見いだせない場合、負の財産として引き受けが出来ないという理屈になります

また、一度例外的に受けてしまうと平等の観点から問題となりますので、基本的に市町村は空き家の寄付を受け付けていないと考えてよいです。

2. 土地の国庫帰属制度というものが制度上あると法務局で言われたため検討したい。

相続土地等の国庫帰属制度という言葉は、国の広報により普及し始めているため細かな制度はわからないが、国が引き受けてくれる場合があると思いお客様は検討します。

しかし、国庫帰属制度の対象となるのは、かみ砕いていうと、

  • ① 相続又は遺贈で取得した土地で
  • ② 土地の上に建物がないこと
  • ③ 境界が明らか
  • ④ 不法投棄物がないこと
  • ⑤ がけ地でないこと

を満たす土地です。

つまり、管理コストがかかるような土地は国庫帰属制度の対象として認められない可能性が高くなります。大きな木が茂っていることも管理コストがかかるものとなりますので、現実的には帰属の対象となるのは難しいと思われます。

相続に詳しい実務家の間では、令和8年1月の現状では、国庫帰属制度は使い勝手が悪く業務として受任するのが難しいと感じると思う方が大多数といえます。

また、申請には1筆最低20万円の印紙代かかりますので、申請料+行政書士などの専門家にかかる費用を考えると手放すには、コスト負担が大きすぎるといえます。また、実家の建物がある場合に解体をすることが前提です。そのため、

  • 解体費(200万円から300万円)
  • 申請料(最低20万円)
  • 境界不明瞭の場合測量費(20万円~40万円)
  • 専門家への報酬(20万円~40万円)

で、少なく見積もっても計260万円程度かかります。そのため、実家の空き家付き土地について、国庫帰属制度を利用するのは現実的ではありません

3. 解体更地化して、土地のみで売りに出す

実家の空き家はかなり古く解体して売るしかないと思い込んでいる相続人様も多いです。しかし、解体し更地化するとますます売れなくなるリスクもあります

実家の周りを見渡し、空き地が売りにあちこちでている場合には、更地にしても売れる可能性は低いかもしれません。しかも、不動産業者の方としては、報酬として33万円(空き家売却の特例)を請求することが多いため、お客様には売値を50万円以上で売り出すことを提案するのが多いです。ただ、あちこちで土地が空き地になり余っている状態で、50万円以上で実際売れるかというとかなり厳しいといえます

仮に、50万円で売れたとしても、解体費250万円+不動産屋業者への仲介手数料33万円=計283万円くらいは出費としてかかりますので、相続登記を受けた相続人の方は、233万円くらいの赤字になるということになります。

そのため、実家の相続について、相続人の皆さまだれも新名義人になりたくないとなるのです。

現実的な解決策はあるか⇒現況有姿で安価で売る

たまき行政書士事務所では、現地を見てなるべく赤字にならない現実的な方法で処分方法を提案しております。

一番、負担がかからないのは建物を解体せず、現状維持のまま現況有姿(げんきょうゆうし)で引き渡し、登記も新所有者へ移転するということです。そうすると解体費を相続人側が負担しなくて済みます。

相続人の方からすると「うちの実家は古すぎ、人口も減少している田舎なのでそのままでは売れるはずがない」と考えるのが自然です。しかし、建築費(材料費、人件費)が高騰している令和の現在では、古くても建物は貴重と感じる方もいます

また、不動産というものは価値がないと思う方には0円でもいらないけれど、価値があると考える方には、安ければ買いたいとなります

例えば、実家をそのまま住まいとして利用するにはリフォームなどで採算が合わないが、近所の会社の従業員の休憩所や、物置、建築資材置き場と考えると古くても十分といえます。

また、全国には、古い家を最低限のリフォームをして住居として貸す大家業をしている方もいるため、古いからといって解体する必要はないことが多いです。

例えば、大型室内犬を飼っている方やネコなどの小動物を多数飼いをしている方は、マンションでなく一軒家の方が、ペットが走り回っても、騒いでいてもそれほど周囲を気にすることがないため、古い家でも需要はあります。

現況有姿で売るための二つの方法

① 不動産業者に依頼し仲介をお願いする

現況有姿で例えば、100万円以上で売れるようであれば、不動産業者さんに依頼をし、スーモやアットホームなどの広告媒体で新所有者を募集するという方法があります

しかし、なかなか引き受けてくれる不動産業者の方も少ないかもしれません(テレビCMなどをしている大手の不動産会社は電話の段階で断られることが多いです。)ので、引き受けてくれる不動産業者さんがいない場合には、別の手段で売る必要があります。

② 個人間売買をする

当事者同士で価格を決め、現況有姿(げんきょうゆうし)で引き渡すという契約書を作れば、売買の所有権移転登記も可能です

たまき行政書士事務所では、人口数千人~5万人程度の相続空き家を処理するときにこの個人間売買サポートをさせていただき個人間売買にて引き渡すことがあります

売買金額は、当事者同士で決めるのですが、目安としては20万円以下が良いかもしれません。なぜ20万円以下かというと売主が売却した後に行う税務処理(不動産譲渡所得税の確定申告が不要となる)が楽になるからです

まとめ

今回は、人口数千人~5万人程度の北海道の地方都市実家の処理(空き家の処理)について解説しましたが、不動産は1点ものですので、本当は、パターン別に開設できるものではありません。そのため、相続登記をする前に、相続の専門家に相談してから、実家の処分を検討するとよいでしょう

たまき行政書士事務所は、開業以来、様々な地方の相続案件の相談を受けてきておりますので、個別具体的な相談ができます。必要であれば無料相談をお申込みください

このページの著者

たまき行政書士事務所
代表 行政書士 田巻 裕康

大学卒業後、サービス業の仕事を長年経験。その後、29歳で初めて本格的に法律を学びはじめる。行政書士に合格し、東京にある、相続遺言専門の行政書士事務所で勤務。もっと、ゆっくりと時間をかけてお客様に寄り添いたい気持ちが強くなり、第二の故郷である札幌にて独立し、たまき行政書士事務所を開業。

保有資格
行政書士・宅地建物取引士

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