【遺言を作成した方が良い方】第28話 自分の土地の上に娘夫婦の自宅を建てさせたお父様

相続・遺言コラム

父所有の土地に娘夫婦が家を建てるというよくある事例

今回の遺言を残した方が良い方の事例は、具体例を示した方がわかりやすいので、先に関係図を書きます。

現況と父の考え

不動産2の上には、長女の夫名義の家が建っている。長女の夫は35年ローンで北洋銀行からお金を借りた。不動産2の土地には共同抵当が設定されている。

不動産1には、父と母が2人で住んでおり、妻(図でいうと母)は健康体なので、自分の死後は、妻がそのまま相続し、終の住処として暮らしてほしい

長男にもある程度財産を残さなければと思っているが、長男は上場企業に勤め、生活が安定しており独り身なのでそれほど残さなくてよいのではないかと考えている。

父が死亡した際に予想される状況(遺言なしの場合)

仮に、上記の現況のままで父が死亡すると、不動産1、不動産2、預貯金800万円が相続財産として遺産分割協議の対象となり、母、長女、長男の3人が法定相続人となり、自由に対等な立場で遺産分割協議をすることとなります。

母は、不動産1を相続することが、暗黙の了解で決まることが予想されますが、不動産2については、長女が当然に相続できるかはわかりません。

なぜなら、不動産2を長女が相続することになると長男の取り分がかなり低くなるからです。仮に、預貯金800万円をすべて相続することにしても長女が1200万円に対し、長男が800万円なので、不動産2を長女が相続することにすんなりとは応じてくれない可能性があります。

ただし、不動産2の上には、長女の夫名義の家が建っているため長女夫婦の暮らしを保護するには、長女が不動産2の土地を相続した方が良いといえます。

普段から長女ばかりが援助されていると感じている長男は、不動産2の共有持ち分を主張したり、長女に代償金を要求する可能性があります

父が公正証書遺言を作成することで解決できる

このように特に不動産2(長女の夫が建物所有者として建物を建て長女夫婦と子が暮らしている)を確実に長女に相続させるために、父は、公正証書遺言を作成し、不動産2を長女に相続させるという内容にする必要があります

また、不動産1については、妻に相続させるという内容にし、預貯金の800万円については、例えば、300万円を妻へ相続させ、残り500万円を長男へ相続させるという内容を書くと公正証書遺言の内容通りに手続きを行うことができます。

遺留分について

上記の具体例のような遺言内容にすると、長男が取り分が少ないとのことで納得がいかないということが予想されます。遺言で不利益を受けた相続人である長男には、遺留分侵害請求というものがありますので遺留分侵害請求を主張できないかと考える可能性もあります。

今回の具体例では、相続財産が計3800万円(不動産1と不動産2で3000万円、預貯金800万円=計3800万円)で、長男の遺留分は相続財産の8分の1となりますので、475万円が遺留分侵害請求で請求できる額となります。

もっとも、今回の具体例で長男が500万円を相続する内容の遺言の執行をすると遺留分よりも25万円(遺留分475万円<相続する額500万円)多く取得する形になりますので、バランスのよい遺言内容にすれば、少なく取得することになる長男から遺留分を請求されることを予防できます

参考記事(遺留分について)

【相続の基礎知識】遺留分とは

遺言によって取り分が少なくなる方への配慮も大切

今回長男は、遺産分割協議をすれば取得できる額を、遺言によって強制的に取得できない状況に陥ります。手続きは、遺言によって完結できるとしても家族内に遺恨が残りそうです。そうならないために、遺言によって取り分が少なくなる方への配慮も大切です

配慮の方法として【付言】というものを残すという手段があります。付言とは、遺言の本文(相続財産をどう分けるか遺言の核心となる部分)より後に書くメッセージ(手紙)のようなものです。

例えば、下記のような付言を残すと効果的です。

私がこのような遺言内容を残した理由は、遺産の話し合いの際に揉めないようにしたいからです。お兄ちゃんには少なくなりますが、お兄ちゃんは大学に行き4年間の学費と生活費分、長女より700万円ほど多くかかりました。その分を合わせて考えるとほぼ同じくらいの割合となります。子供たち2人とも私の大切な子供であります。これからもお母さんを支えて仲良く暮らしてほしいと思います。

遺言は個別相談が一番

今回は、父の名義の土地に長女夫婦の家が建っているという具体例で解説しましたが置かれている状況は100家族あれば、100通りの異なる状況があり、遺言を作成すべきかわからない、遺言を作成しようと決めていてもどのように書けばよいかわからないという場合には、相続・遺言の専門家への個別相談がおすすめです

法律上の問題もそうですが、相続問題は、感情の問題が大きな割合を占めます。相続と遺言の問題を数多く解決している専門家であれば、手続きをスムーズに終えられることに加え、相続人への配慮も含めた遺言作成のサポートを行うことができます

相続と遺言が専門のたまき行政書士事務所(北海道札幌市北区)では、公正証書遺言に関する無料相談を行っております。将来自分が死亡した際に問題が生じそうだ、漠然とした不安を抱えているという方がおりましたら、お気軽にご相談ください。

このページの著者

たまき行政書士事務所
代表 行政書士 田巻 裕康

大学卒業後、サービス業の仕事を長年経験。その後、29歳で初めて本格的に法律を学びはじめる。行政書士に合格し、東京にある、相続遺言専門の行政書士事務所で勤務。もっと、ゆっくりと時間をかけてお客様に寄り添いたい気持ちが強くなり、第二の故郷である札幌にて独立し、たまき行政書士事務所を開業。

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行政書士・宅地建物取引士

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