相続手続きの際の被相続人の本人特定方法について
相続・遺言コラム
相続手続きは、戸籍や戸籍の附票、住民票などで亡くなった方の本人の情報を一致させていく作業が必要となります。今回のコラムは、被相続人様の本人の特定方法について少しマニアックな解説をしたいと思います。
亡くなった方(被相続人)の特定はどのようにして行うか
銀行口座、不動産の名義で、同姓同名が多い名前の方が登録されていたとします。
例えば、佐藤大介さんという方は、かなり北海道でも多くの方がいると思います。
そのような場合、口座名義の佐藤大介さんと、この度亡くなった佐藤大介さんの本人の一致をどのように取るかが問題となります。
特定手段の一つは、生年月日となります。同じ佐藤大介さんでも生年月日が一緒の佐藤大介さんとなるとかなり限定されてきます。
二つ目は、佐藤大介さんの住んでいた住所で特定することがあります。
生年月日が同じ佐藤大介さんは、札幌市内でも10名を超えると予想されます。その中で、たった一人の佐藤大介さんを特定するには、住所の一致で図ることが出来ます。
死亡時点の住所と登録されている住所が異なる場合
先に、名前と生年月日と住所で本人特定ができるとしました。ここで実務上問題となるのが、
- 1. 名前が死亡日時点と異なる場合
- 2. 住所が死亡日時点と異なる場合
の2点です。
1. 名前が死亡時日時点の名前と異なる場合の対処法
名前が異なるというケースは主に、
の2点あります。
① 結婚、離婚によって、口座名義人あるいは、不動産名義人として登録されている氏と死亡時点の氏が異なる場合
一つは、結婚、離婚によって、口座名義人あるいは、不動産名義人として登録されている氏と死亡時点の氏が異なる場合です。
これについては、戸籍で解決できます。相続手続きの際には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍を取りますので、名前の変遷が確認できます。
例えば、女性で過去に結婚しており、死亡日時点では、結婚前の氏に戻っていた場合には、結婚時の氏で銀行口座を作っていることがあります。
この場合、通帳と相続に必要な戸籍を照らし合わせ、本人の一致が確認できます。生年月日も一致しますので、これで本人確定可能です。
② 改名している場合
二つ目は、改名している場合です。意外と、占いや、画数、運気の関係で、自分の“名”の漢字を変えている方がいます。
この改名の場合も、戸籍を遡ると改名の記録が出てきますので、出生から死亡までの戸籍を取ると名前の不一致理由が解消され、問題なく本人確定ができます。
2. 住所が死亡日時点の名前と異なる場合の対処法
銀行口座や、不動産の名義で登録(登記)時点の所有者住所が死亡日時点の住所と一致していないと結構苦労することがあります。
特に、佐藤大介さんなど氏も名も多く使われている方は要注意です。
この場合、銀行口座や、不動産の名義で登録(登記)時点の住所に住んでいたという公的記録が必要となります。
ところが、住所については、過去の住所は追えないことがあるので注意が必要です。
比較的死亡日と近い時、具体的には、5年以内の住所であれば、問題ありません。戸籍の附票や住民票の除票で、前住所が記録されています。死亡から5年を経つと多くの自治体では、住所の情報は抹消します。(ただし、被相続人と同じ戸籍にいる方が生きていれば、戸籍の附票で、5年以上前でも取れます。)
問題なのは、5年以上前の旧住所の特定です。
この場合、自治体の保管期間(通常、住所情報は5年間のみ保管)の関係上、公的な記録がないことが多いです。
もっとも、銀行口座の場合、口頭でどこに住んでいた記憶があると申告する位で大丈夫なことが多いです。
本籍地が旧住所と一致しているというのも有力な間接証拠になりますので、本籍地も参考にされることがあります。
不動産の所有者の住所については、不動産権利証があれば、住所の不一致の場合でも大丈夫です。
自治体の都合で旧住所になってしまっている場合
例えば、札幌市では、数度、国や自治体の都合で住所の表示が変更となっていることがあります。この場合、銀行口座では特に問題となりませんが、不動産の名義の相続登記の際には、住所の一致を求められるため問題となります。
不動産の相続登記では、旧住所に住んでいたことの証明が必要になります。証明の一つは先に照会した権利証ですが、権利証がないことも実務ではよくあります。
この場合、
- ⅰ. 該当の住所地の区役所あるいは、札幌市役所の戸籍住民課(住居表示担当)で、“住居表示の変更証明書”
- ⅱ. 札幌市役所の道路確認課での、“町名変更の証明書”
の2つの証明書で旧住所と亡くなった時の住所を一致させることが出来ます。
具体的には、
札幌市白石区北郷〇〇条〇丁目1234番地→札幌市白石区〇〇条〇丁目1番1号
というのが“住居表示の変更証明書”で証明されるものとなり、
札幌市白石区北郷1234番地→札幌市北郷〇〇条〇丁目1234番地に変更された
というのが、“町名変更の証明書”です。
札幌市での住所変更事項の証明書2種類は、おさらいすると、
“住居表示変更証明書”は、該当の不動産の存在する区役所の戸籍住民課もしくは、札幌市役所2階にある戸籍住民課(住居表示担当、3番窓口)で取得します。
“町名変更証明書”は、正式には、“町名変更による証明願”という書面となり、札幌市役所2階道路確認課(町名変更証明担当、1番窓口)となります。
町名変更の確認は、古い紙の台帳である“地番調書、旧新対照表”というものを職員さんが目で見て確認し、パソコンできれいに表にして出力してくれます。
いずれも、見本を添付しましたので、ご参照ください。
相続でお困りの際は、一度専門家の無料相談を利用するのがお勧め
今回は、少しマニアックな本人特定についてのコラムを書きましたが、相続においては、意外とこのような個別のお困りの事情が出てきます。
スムーズに相続手続きが完了するというのはむしろ稀といえます。
また、相続手続きは、銀行の窓口の方も頻繁に対応することはないため、なかなか窓口の方とお客様との話がかみ合わないこともしばしばあります。
相続手続きに詳しい専門家に相談すると、相続手続きの流れを明確に説明してくれますので、一度無料相談を利用すると良いでしょう。
そのまま、相続手続きを依頼することもできます。
よろしければ、たまき行政書士事務所でも相続手続きについての相談も初回無料でできますので、ぜひご利用してみてください。出張訪問、事務所相談、コロナコロナ対応として、リモート相談、電話相談も行っております。
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