公正証書遺言の保管期限について

相続・遺言コラム

公正証書遺言の保管期限は、遺言者が満170歳を迎える日まで

相続遺言の専門事務所であるたまき行政書士事務所では、公正証書遺言作成のサポートを多く行っておりますが、よく「公正証書遺言はいつまで有効か」というご質問を受けます。

答えとしては、新しい内容の遺言を作成しない限り無期限で有効ということになります。

ただし、公証役場での公正証書遺言の原本の保管期限は、遺言を作成した方の年齢が満170歳に達する日までとなっております。

なぜ満170歳までか

日本人の平均寿命は、厚生労働省の簡易生命表によると男性81.47歳、女性87.57歳となっております(厚生労働省HP参照)。

これはあくまで平均なので、今では100歳を超えている長寿の方も多くいます。現時点(令和5年7月)での日本人の最高齢は、大阪府柏原市に住む巽フサさんの満116歳といわれております。

そのため、これからもフサさんのように120歳くらいまで生きる方が増えるのではないかというのが役所や相続実務での見解といえます。

公証役場の遺言の保管期限も、人間は120歳まで生きるだろうと想定して決められています

今後120歳で亡くなった方が出たとして、その方の遺言は死後50年位は公証役場で保管すべきという議論があり、最近になって、遺言者が満170歳に達する日まで保管することに決まりました

内容が変わると遺言が使えないこともある

遺言者の死亡時点で長男が死亡している場合の相続関係図遺言の有効期限は、新しい内容の遺言を作成しない限り無期限で有効と述べました。そして、公証役場の公正証書遺言の保管期限は、遺言者が満170歳になる日までなので、実務で特に問題とならない十分すぎる保管期間だと言えます。

ただし、遺言は自筆証書遺言、公正証書遺言に限らず、書いてある文言通りの内容がそのまま実現できない状態(受遺者として指定している者が死亡しているなど)であったときには、実現できない部分は、遺言を使っての執行ができないので注意が必要です

例えば、図のような相続関係で、遺言者が「長男にすべて相続させる、遺言執行者も長男とする」という内容の遺言を書いたものの、遺言者より先に長男が死亡していたとします。このような場合、長男の代わりに長男の子(遺言者からみると代襲相続人)に財産を相続させるという風に、柔軟に解釈できるわけではありません

民法の家族法分野の有名な判例(最高裁判決平成23年2月22日)があり、この判決内容を一般の方向けにかみ砕いて解説すると、遺言によって“相続させる”とした受遺者(今回の例でいえば長男)が遺言者の死亡時点ですでにいない場合、その受遺者の相続人(代襲者)に当然に相続させるものでないという見解を示しています。

この判例が実務でも採用されており、遺言によって相続させるとした方が亡くなっている場合、その部分の相続は、遺言の執行によってではなく、遺産分割の対象となります。

遺言を半永久的に使えるようにする対策

相続遺言専門のたまき行政書士事務所のように、遺言のサポートを専門に行っている事務所が、お客様からお聞きしたことを基に遺言の原案を作成する際には、必ず予備的遺言というものを入れます。先ほど説明したように、遺言の効力発生時(遺言者の死亡時)には相続関係が変わっている(受遺者が遺言者より先に死亡している)ことがあるからです。

そのため、専門家が公正証書遺言の作成をサポートする際には、予備的遺言を作成するために、家族構成や家族事情をかなり深くまで聞きとってから、原案を作るようにしております

このように予備的遺言の文言を適切に入れると、何度も遺言を書き替える必要なく半永久的に使える遺言となります。

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